【キアリー】再び秀麗富獄十二景へ。高川山と九鬼山(2018年1月21日)
絶賛繁忙期中で体力低下中
この週末、多くの山域で天気予報がイイ感じである。が、繁忙期に突入してしまい、山に行けるのは日曜日のみ。日曜日をノンビリ過ごし次の一週間に備える選択は賢明である。しかし、仕事の毒で汚染されたまま翌週に突入してしまえばジリ貧である。体と精神の浄化のため、疲労困憊の体に鞭打って登山に向かった。
本当は日帰りの雪山(北横岳、赤城山、網笠山あたり)が良かったが、流石に寝不足と注意力散漫で危険すぎるため、もっと安全度の高い登山にせねばと考え、思い出したように秀麗富獄十二景の続きを選んでみた。高川山。標高も低く行動時間も長くないが、富士山もよく見えなかなか人気があるようだ。
秀麗!(高川山山頂にて)
初狩駅からあっという間に登頂できる高川山
JR初狩駅は、東京から向かうと大月の1つ向こう側。
流石に始発電車に間に合わせるために超早起きはできず、初狩には8時半到着。駅から20分ほど舗装道路を歩き、登山道が始まる。
コースは男坂、女坂、沢コースの3つがあるようだ。沢コースは途中で女坂に合流する。虚弱な本日の自分は、沢コース選択。沢コースと女坂コースは、所々汗ばむような登りもあるが、基本的にはマッタリと登ることができる平和な登山道である。
お年寄りのグループに、「若い人は男坂よ!」とイジられながら登る。いいのである。今日は浄化のためにやってきたのだ。
到着!時計をみたら9時半。。。。1時間で着てしまった。
大月駅一帯の山は、駅からそのまま登山開始できる手軽さが大々的に取り上げられているが、本社ヶ丸、扇山、百蔵山、そして甲州高尾山と、登山口までの徒歩が結構時間はかかるし、コースタイムもそこそこかかった。が、何だこれは!1時間って。。。
でも、眺望は最高によろしい。ホットコーヒーをすすりながら、しばしヒーリングタイム。
さぁ下山だ。山頂から下山しようとすると複数のルートがあるが、何気なく最初に選択したルートは、いきなり大きな岩場&ロープ(一部鎖)という、平和な山とは思えないHard-Mode(名前忘れてしまったが、一番南側を下るルート)。かなり高低差のある岩斜面の登りor下りなので、この手のルートが好きな人以外は避けた方が賢明自分は、流石に今日はそこまで頑張りたくないので、さっさと安全な方に戻った。
メジャーなルートは、「むすび山」に向かって縦走して行くルートで、そのまま大月駅に出られる。これは便利である。しかし、これでは正午には到着してしまうため、少々寄り道をしようと思い、田野倉駅の方へ降りて行った。
田野倉駅到着。山頂からノンビリ歩いたので2時間弱というところか。途中から一般道を歩いて、リニアの線路やら高速道路をくぐったりして進む。ランチを食べるタイミングを逸したので、駅のベンチで簡単に済ませた。
九鬼山に寄ってしまうの巻
ランチを食べ終わってもまだ正午前。「山と高原地図」をボーッと眺めていると、田野倉駅から往復3時間くらいで、別の十二景の山「九鬼山」に行けることを発見してしまう。
「いや、今日は毒抜きなので帰ろう。」「もう1座登ったら楽しいぞ。」
天使と悪魔の戦いである。
結局、登山口に来てしまった。九鬼山も色々ルートがあるようだが、一直線に山頂を目指してサッさと降りてきたいので「池の山コース」で登山開始。目の前にある沢を渡って、そこから登り始める。
地図では登りは70分ほどとなっていた。実際のタイムもそんなところだったが、とにかくもの凄い急登である。序盤から何か嫌な予感がしたが、中盤以降は急登オンリー。本社ヶ丸を思い出し、徳ちゃん新道(甲武信ヶ岳)や権現岳の天女山側からの登りを思い出すほど、結構エグく感じた。単純に疲労困憊だったせいだろうか。ただ、30分程度で終わるという点では救いはあった。
とりあえず九鬼山到着。富士山は雲を被ってしまい見えず。秩父側の展望で我慢。70分ほど無心に登ったので、疲労もあったが、浄化には最適。970Mの山だが、妙な達成感があった。
河口湖方面の展望(これは山頂ではないが)。そう言えば、山頂手前あたりに「天狗岩」という寄り道スポットがあり、そこからもこっち方面が見渡せた。何はともあれ、15時に田野倉駅に戻ってきた。ほぼ1,000Mの山を2つ登ったが、同じコースタイムで1つの山を登るより内容が濃くなるような気もするが、やはり結構大変である。
やってきた電車は、トーマス列車!平和な気持ちで家路につけた。
本日の遊び(道具)
低山で、しかも積雪もないため、久しぶりに雪山装備なしの軽快登山であった。ナノエアで臨んだが、低山だと暑すぎて、途中からはマムートのソフトシェルにチェンジした。
前回の硫黄岳登山で、インナー手袋について考えさせられたので、モンベルで1組購入してみた。フリース地の手袋である。薄いので、インナーにも使えそうだし、そのままでもいけそう。
低山でも上の方は手が冷たくなるので装着。通常のポリエステルやニット系の手袋より、明らかに暖かい。手を入れた瞬間暖かい。フリース地なのですぐ乾く。ただ、鎖やロープは危なそうだ。
ついでに靴紐も交換。ちょっと派手すぎたか。
おしまい。
逆光(高川山山頂にて)
秀麗富獄十二景の他の記事は以下であります。
【散財3】初売りの甘い誘いに乗ったフリをして豪快に買い物をする
謹賀新年
新年あけましておめでとうございます。今年も時間が許す限り山に登り、星の数ほどシャッターを押しまくり、渾身の力で記事を書いて行きたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。
新年早々、セールに出かけてみた。例年、あまり初売りや正月開けのセールは顔を出す程度であるが、今年は仕事グッズ(Yシャツ、革靴、ネクタイなど)の補充が急務であったこともあり、気合いを入れて出陣してみた。
壮観である。
ここに収まっていないものもあるのだから、爆買いそのものだ。中央から右の後側に並んでいるものが、仕事関係のもの。手前にあるデニムは、数年履き続けたデニムが「あかん」レベルに達したため交換。その他は、、、、そう山グッズである。
しかし、決して新春、そして初売りの雰囲気に呑み込まれたのではない。きちんと言い訳というか、使い道を考えての購入であるはずだ。
雪山の消耗品の交換
アイゼンワークが未熟な自分にとって、ゲイターはまだ「消耗品」になってしまう。昨年、モンベルとISUKAで2つ購入したが、ISUKAは滑落した時に豪快に破れてしまい、穴あきモンベルで過ごしていた。危ない。購入は合理的だ。
しかし、山グッズのお店もセールをやっていたが、ゲイターは値下げしてくれず。。。
これを気持ちでも下げてくれたら、消耗品を買い替える場所として永遠の忠誠を誓うのだが。。。
過酷な雪山登山までは踏み込んでいない自分は、とりあえず昨年と同じISUKAを購入。値段も5,000円を切っており、生地もペラペラでもないので、アイゼンの引っかけも何回かは耐えてくれる。とはいえ、上位の守備力の高い連中よりは少し劣るが。
シュラフカバーの代理人
さて、以前ご紹介した通り、私のシュラフはNANGA Aurora Light。
こやつは防水加工をしてある優れものであるため、シュラフカバーなるものが不要である。が、ちょっと低山ではあるが冬山にテント泊する可能性が出てきたため、慌ててカバーの代替品を買った。ダウン量450gで760FPのシュラフなので、雪山は相当厳しいのだが、低山であれば、カバーをして、思いっきり着込めば耐えられるのではないか、と期待。
SOL社は、エマージェンシー用のシートが有名だと思うが、シュラフっぽい形をしたものも売っており、これを被せてしまおうというわけである。無謀だろうか。実際試す機会があれば、レポートしたい。
ちゃんとした手袋
これはセール品だった。Black Diamondのほうがカッコよかったが、PAINEを選定。吹雪にも耐えられる厳重な厚手手袋は既に持っているが、当然超厚手で細かい作業は一切できない。このため、雪山でも超薄手の手袋だったり、風がピューピュー入り込んでくる防風/防水効果ゼロの手袋を冬場も使用していた(重ねてね)。そろそろちゃんと買え!と思った次第である。歩き始め手が冷たくて痛かったり、間違えて手袋を雪に落としてしまい、防水効果がないので使用不能になったり、、、ということを繰り返し、ようやく行動用の防水防風手袋を手にした。
中厚手のボトムス
中厚手の1枚が、多用による摩耗が激しく、取替更新である。MilletのMonte Rosa Pant。夏用の長ズボンを昨年購入してシルエットが美しく、撥水性と汗処理の良さに感動したので、秋冬用のボトムスもミレーにしてみた。まだ試していないが、試着段階で足を曲げた時の抵抗感が気持ち悪いほど「ない」。いくつか中厚手のパンツが売り出されていたが、雪山では、ボトムスは最初からハードシェルを装着するので、それを念頭にして選んだ。セール品で安くなっていたし!
念願のダウン
ゴミ袋ではない。出すのが面倒なので、スタッフバッグに入れたままで撮影。下半身用のダウンである。Mountain EquipmentやMarmotなどもあったが、セール対象のMIZUNOを選んでみた。これを履く場面は、普段の生活で言えば「パジャマ」みたいなものである。履いて心地悪くなければいい。特に冬山を意識したわけではなく、秋口のテント泊で必要性を感じたので購入。しかし、普段から履いてしまいそうな心地よさである。
消耗品の補充
ガスバーナーのガス、そしてトレッキングポールの先端のラバー。今回買う必要もなかったが、折角なので購入した。どちらも大切な消耗品である。ラバーは、失くさないようにしたいけど。
疑惑の残る一品
MAMMUT Xeron Down Jacket
フードの付いていないマムートのダウン。お前ダウンなんか持ってるだろ、ジャケット類何枚あるんだよ!という、至極現実的な自分が頭の中で不買運動を繰り広げた。しかし、冷静な登山家を気取る悪魔のような別の自分が、雪山で食事、天体観測、ご来光のときに、ナノパフだけで乗り切れるか?と問うてきた。R2 (あるいはナノエア)を組み合わせて、シェルを被れば耐えられるぞ、現実さんの真っ当な返答が聞こえる。しかし、これは1枚で温かい!ダウンに防水加工まで仕込んである。コンパクトだ。スリムでタウンユース可能。セール対象だ。
お買い上げ。嗚呼呼呼呼呼呼
スタッフバッグが付いていないのか?と聞いたところ、ポケットに収納できますと言われたので、家で収納してみた。とりあえず、10年前以上前に買ったダウンは、ダウンの飛び出しが凄いので処分しよう。タウンユースできるくらいシルエットは美しく、ディズニーランドや温泉旅行で活躍してくれるでしょう。
しかし、今写真を見ていて気づく。先日購入したナノエアは黒、今日買ったダウンは黒、ボトムスも黒。。嗚呼呼呼呼呼呼
おしまい。
以下、【散財】シリーズの記事です。
【通知表】2017年に買った登山道具を振り返る
投資の成果
本題の前に登山の話
本日(2017年12月29日)、2017年登山の登り納めとして、初心にかえり、高尾山に行ってきた。高尾山口からピストンしただけではつまらないので、陣馬山へ登り、そこから景信山、小仏峠と経由して高尾山に縦走し降りてきた。初めて陣馬山から歩いてみたが、序盤の登りを除いては、ほとんどアップダウンがなく、好意的に言えば平和な登山、本音を言うとちょっと退屈。歩きながら、今年最後のブログの記事を考えたりしていた。
本題に行く前に、本日の登山の写真を何枚か。写真でよく見かける陣馬山の山頂にあるオブジェ。なぜこんなところに、こんなデカいものを作ってしまったのか。非常に謎である。
午前中の天気は最高に良く、富士山もバッチリ。ちなみに、本日はお気楽登山のため、一眼レフを持参せずSONYのコンデジで撮影。
年末と言うこともあり、景信山、城山の売店はClose。持参した食糧が少なかったので、途中でお腹が減って大変であった。
小仏を通り過ぎて、最後に高尾山に登って行く階段。バス停から休憩込みで6時間くらい歩いたが、この階段が一番キツく感じた。高尾山に近づくにつれ、小さなお子さんを連れた家族、大人数でワイワイ歩く若者が増えてくる中、ヌバックレザーの登山靴で歩く自分は少し滑稽に感じた。軽量級の登山靴をやはり買おう。
最後は1号路。もはや山ではなく観光地である。行動時間は長かったが、シビアさが全くない平和な登り納めになった。
本題:2017年に購入した登山道具の話
陣馬山からの縦走路で考えていたのが、今年、登山道具にとんでもない金額を投資したのではないか、ということ。登山靴、ウェア類、ザック、消耗品と、部屋は1年前よりも明らかに登山道具で溢れかえっている。色々と考えながら慎重に買ってはいるものの、その後の稼働率が異様に高いギアもあれば、1度っきりでお蔵入りした道具まである。そこで、まず2017年に購入した登山道具で、秀逸だったと思うものを挙げていきたい。
5位 Millet鎖帷子
夏も冬も活躍中。これを使い始めてから、ベースレイヤーが汗で体に張り付くことも、汗冷えもゼロ。体に近いところに着るものほど投資した方がいい、と言われるが、まさにこれがソレ。当初、耐久性は大丈夫か?と思ったが、夏以降の登山でTシャツで出動した時を除き毎回使用しているが、未だ最初に購入したものを使えている。素晴らしい。若干脱ぎづらいことが気になるのと、何も知らない人が見たら「変態」だと思われること必至。
(ミレー)MILLET DRYNAMIC MESH SHORT SLEEVE MIV01566 BLACK - NOIR L/XL
- 出版社/メーカー: MILLET(ミレー)
- 発売日: 2017/07/11
- メディア: ウェア&シューズ
- この商品を含むブログを見る
4位 FITS靴下
テント泊で靴擦れに悩まされた時に、インソールの交換と共にこの靴下の使用を開始。サイズは少しタイト気味だがMをチョイス。Lサイズのソックスは、登山靴の紐が緩んだ時に靴の中でズレたりしてどうも不安である。このソックスは、購入後どの靴を履くときでも使用しているので、既に20回以上履いている計算で、最近の稼働率は100%。耐久性もしっかりしているし、何よりも、その後のテント泊や高山帯でのトラブルが出ていないので信頼性がある。
3位 ナルゲンの1リットルボトル
一緒に登山をしていた先輩のふとしたアドバイスで購入。それまでは0.5Lを使用していた。ザックには予備の水を積んでいるので、サイドポケットに入れるボトルの容量は関係ないじゃないか?と当初思っていた。0.5Lと1Lで何が変わるのだ?と。しかし、振り返ると、この差は非常に大きい。自分は登りでの水の消費量が多い(オーバーペース)ので、0.5リットルだと頻繁に入れ替え作業が必要になる。ガブガブ飲んでも大丈夫な安心感は、自分にとってとても良かった。
2位 マムートのソフトシェル
厳冬期終了時に、防風/防水の使い勝手のよいものを探していた時に購入。流石に雪山では携行していないが、それ以外の場面では毎回使用した。風よけ、休憩中の保温、そして樹林帯でのレインウェアなど、使い道勝手が非常に良い。このタイプのソフトシェルは色々なメーカーから出ているので、これよりももっと快適だったり、高機能なものもあるとは思う。マムートのジャケットはシルエットがカッコいい。
1位 COTTONのカメラホルスター
きっと、これを購入していなかったら、一眼レフ携行の頻度が落ちたかもしれない。それ以上に、登山中に撮影する写真がずっと少なくなってしまったと思う。感動した場面でサっとカメラを構えられるメリットは計り知れない。ザックを下ろして、雨蓋開けて、ザックを開いて、撮影してまた閉まって、という撮影とは関係ない一連の作業が一切不要になるわけである。
当初思っていた以上に安定しているし、耐久性も予想以上にいい。また、カメラを終止胸の前に置くことで、当然岩や樹にぶつけてしまうリスクもある。実際何度かガチャっとやってしまったが、その頻度も、本当に偶にである。鎖場やハシゴでは、流石にカメラはザックにしまうため、それ以外の場面で気をつければ、カメラを破損するリスクはそれほど高くはないと感じている。
番外編:欲しいもの
挙げて行くとキリがないが、摩耗が進むザックと、軽量登山靴の2つが現在リストのトップにいる。
ザックはテント泊、夏山のスピード登山を除いては、オスプレーの38Lを使用しているが、連続稼働のせいか、両サイドのネットやハーネスが破れそうになっている。通算で40回以上使っているので、ある程度の摩耗は仕方ないが、稼働率を落とす意味でも、もう1個あってもいいかな、と感じている。登山仲間でKARRIMOR RIDGEを使用している人が2名おり、使い勝手がとても良さそうで気になっている。また、MYSTERY RANCHのザックも、特殊なシルエットが購買意欲を刺激する。セールとかないかな...
[サロモン] salomon QUEST 4D 2 GTX L37073100 L37073100 (DETROIT/BLACK/NAVAJO/26)
- 出版社/メーカー: SALOMON(サロモン)
- メディア: Shoes
- この商品を含むブログを見る
SALOMONのQUESTシリーズは、意外に重量があるので、軽快な登山靴かどうかは不明であるが、この記事の前半で書いたとおり、高尾山や奥多摩あたりを回るための靴が欲しくなってきている。実際この1年間を振り返っても、友達とハイキングのような登山も何回かあったりして、自分だけヌバックレザーというのはちょっと微妙である。特にこだわらなければ、セール対象になっている靴も沢山あるので、今度試してみよう。
と、なんだか、統一感のない記事になってしまい、ご容赦を。
【暖暖暖】Patagoniaナノエアはあったかいぞお!(Patagonia Nano-Air)
メレンゲのようなジャケット
雪山シーズンも始りつつある。登山ショップに行ったとき、雪山登山のためのウェアの組み合わせをあれこれ考えさせられた。
【昨年の雪山のスタイル】
- アンダーウェア、中厚手のメリノ、フリース(R2)が行動着
- 動き始めが寒ければナノパフを羽織る。稜線出る前の休憩時も同様
- 稜線ではハードシェルを被る
昨年吹雪の権現岳でも、なんとか凍えることなく過ごせたので、多分この組み合わせは悪くはないはず。今年も同じセットで問題はないのだが、最近PatagoniaのR2が完全に「最強の普段着」になってしまい、こいつを登山に持ち出すと、家で着るものに困る、という謎のジレンマが発生してしまった。そういうわけで、R2をもう一枚買うか、もしくはR2ではない別の何かを買うか、という決断を迫られた。
ナノエアを選んだ理由 その1
Patagoniaショップに何度か通い、R2とナノエアを何度も試着した結果、最後は、ナノエアを購入した。R2はフリース、ナノエアはアクティブインサレーションのカテゴリーで、厳密には異なるジャンルのようだが、とりあえずは、ベースレイヤーの上に着られるという点では共通する。
雪山登山を想定すると、R2にしろナノエアにしろ、稜線ではこの上にハードシェルを羽織るため中間着として期待がされる。一方、ハードシェルを装着するのは稜線に出てからであり、冬場であってもアウター的に使う時間帯も長い。R2を買えば中間着として無難な選択だし、登りであればフリースも十分行動着になる。しかし、今回は直感的にナノエアを選んでみた。
柔らかい。
生地は、化繊ダウンとも、フリースとも違う、何とも不思議なフワフワっとした独特のタッチである。さらに試着してみると、着心地の良さにまず驚く。フリースの心地よさとはまたひと味違う。
丸めてみると、柔らかさがわかる。そして。
暖かい。
同じく試着していて、フリースよりも保温性が高い(つまり試着中暑く感じた)ことも印象に残った。意図的に通気させるフリースよりも、密閉された感じがする。何となく中間着というか、アウターっぽい感じもする。
柔らかさと暖かさ。R2とは違う使いやすさがありそうな気がした。
なお、素材はナノパフのようにツルツル、シャカシャカはしておらず、フリースの様に起毛もしていない独特のタッチ。毛玉ができやすいという前評判だったが、確かに摩耗には弱そうな気がしないでもない。
ポケットは胸に2個、お腹のところに2個。ジッパー部分は防水加工はなし。ちなみに、ポケットに手を入れると、これまた暖かい。
ナノエアを選んだ理由 その2
【選んだサイズ】S
R2はMを購入しているので、SとMで迷った。Mだと余裕あって、中に何枚か重ね着が出来そう。Sだと体にピッタリ吸い付く感じ。ただ、素材がとっても柔らかため、ピッタリサイズでも窮屈さがない。店頭で試着した際、保温性が高そうなので、余程の高山地帯か悪天候でもない限り、ベースレイヤーは薄手か中厚手かと。よって、サイズはピッタリサイズのSを選定。
【選んだタイプ】フード付きフルジップアップ
本当はフードは不要で、ジャケットタイプ(フードのないやつ)が欲しかったのだが、在庫切れ。ハーフジップタイプは在庫が豊富に残っていたが、明らかに保温性の高そうなウェアを買うのに、わざわざ着脱が難しいハーフジップを選択肢に入れる意味がわからず除外。ナノエアは、登山口からずっと着ていられる(脱ぐ必要がない)という評価もあり、脱ぎづらさは関係ないという考えもあるが、移動中や春先なんかで「ちょっと羽織る」ようなケース、急登で思いっきり換気したいケースなども考えて、やはり全開できるタイプがいいと思った。好みの問題でもあるが。
なお、フードの部分はビヨ〜ンと伸びるので、素材の柔らかさとあわさって、フードがいい感じで頭にフィットする感触である。
【選んだカラー】ブラック
残念ながら今年のラインナップに赤はない。暖色系は派手なオレンジがあったが、店頭にはハーフジップアップのみ。ジャケットタイプも在庫がないので、フルジップで選ぶとすると、ブラック、ネイビー、変な迷彩柄、そして茶色に黒の水玉みたいな謎のカラーの4つ。どれを着ても登山感の乏しい風合いに見えたが、であれば、一番シンプルなやつでいい、と思いブラックにした。電車移動とか街中に出たとき、一番無難でもある。ただ、この材質、砂埃が付着しやすいため、ブラック、ネイビーのような暗い色だと汚れが目立つかもしれない。
出撃Part1 雪のある場所で威力を試してみる
場所は12月16日の越後湯沢。天気は良く、麓は風もない。新雪がいっぱいの道、気温は氷点下3度である。雪山としては暖かい環境でもある。
こうやって写真で見返すと、ブラックも悪くない。
保温性は抜群である
家を出る時からずっと装着。新幹線の中では、少し暑く感じたが、外ではちょうどいい。フリースにソフトシェルを羽織っていた同行者は、序盤寒いを連発していたが、ナノエアに包まれている自分は寒さは全く感じず。
ボトムスは、メリノのタイツに中厚手パンツだったが、こっちは冷たいなーと感じたし、手袋をしないと手が冷たくて仕方なかったので、やはり結構寒い環境だったはず。ナノエアはコンパクトな作りでありながら、素晴らしい保温性である。
勾配はあまりない場所で、トレースはあったのだが、その後に雪がまた降ったようで、こんな感じのフカフカの雪と格闘して歩くことになる。事前の情報ではもっと雪が少ないと予想していたため、ワカンは家に待機。激しくを後悔した。ただ、登山的にはスピードダウンなのだが、ナノエアを試すには良かったのかもしれない。
ずっと着ていられるか?
モフモフをかき分けて行く。
だいたい2時間強、緩い雪の坂を進む。序盤は靴が隠れるくらいの雪の深さだったが、途中からは膝近くまで埋まるところもあって、結構なパワーを要する歩行であった。さらに30分程度登りが続く with 膝丈くらいの雪。
顔からは汗が噴き出して、水もガブガブ飲むほど発熱したが、何とナノエアを終止着ていられた。流石に一番暑かった時はジップを全快にしたが、終止着ていられた、ことに変わりはない。暑がりで汗かきの自分にとっては衝撃的なことである。
そして、休憩したりザックからモノを取り出すために立ち止まった時、保温性と防風仕様により、体が冷えることもない。世の中便利なものがあるものだ、とシミジミと思った。
素材的に絶対防水ではないのはわかるが、撥水加工あり。ちょっとの雪は全く問題はなし。
ちなみに、ナノエアの下は、ICE BREAKERのメリノウールの中厚手ベースレイヤー。Oasis LS Creweという製品。中厚手(200)となっているが、すっごい薄くて、肌触りも最高によろしい。また、ナノエアがピタッとしたサイズなので、これくらいの薄さのベースレイヤーでちょうど良かったかもしれない。
出撃Part2 稜線で耐えられるか確かめてみる
越後湯沢では、雪の積もる林道を中心に往復4時間程度の行動であった。フカフカの雪に足をとられ、運動量としてはかなりあり、ナノパフの行動着としての機能を試すにはよかった。しかし、連続した登り、あるいは稜線ではどうか。第2回のトライとして、長野県の浅間山(黒斑山)で使って見た。
登山口での1枚。寒い、とにかく寒い。手袋なしだと冷たくて痛い。中厚手パンツとメリノウールのタイツを履いていたが、足下の冷えには耐えられず、登山口からハードシェルを履くことにした。一方の上半身は、ナノエアのみで問題なし。保温性は改めて凄いと感じた。
黒斑山は行動時間は登り2時間。息が切れるほどの急登とはいかないが、そこそこの登り道。また途中からは樹林帯と稜線のミックスした様なルートである。
まず登りは、前回同様、スピードを出したりして放出する熱が多くなると、ファスナーを全て締めた状態では耐えられない。適宜、開け閉めして温度調整を図った。これは、いつも着るフリースでも同じである。また、終止ザックを背負う背中側も、特に不快感もなかった。この日は風がほとんどないため、雪があっても登れば暑い。そう考えると優秀なジャケットである。
稜線だが、繰り返しになってしまうが、風があまりないため、ナノエアのみで終始過ごすことが出来た。登り/縦走/休憩と、それぞれ体から出る熱は違うし、アウターに求められる機能も異なってくるが、1枚で冬山を乗り切れる、やはりカバー範囲が半端ない。
ちなみに、ちょっとだけハードシェルを上から羽織ってみた。前のファスナーは開けっ放しで稜線を歩いたのだが、熱がこもって暑い。風がないと、ハードシェルを羽織る必要性がそもそもなく、ナノエアの中間着としての能力は、もっと厳しい環境のときまで待つとしよう。
R2との使い分け
R2は部屋着、ナノパフは登山着。。。。ではない。
【R2の方が優れている点】
- 通気性があるため、温度調節に優れていると思う。アウターの出し入れ等の手間は面倒であるが、シェルをかぶれば保温性は高い。
- ハードシェルを被って中間着にしても、透湿性の高さが生きる。
【ナノエアが優れている点】
- 単独でアウター的に使えるため、着脱の手間が少ない。
- 登り始め、登りの最中、休憩時間と単独でカバーできる行動範囲が広い。
- 冬山の稜線でも、風がなければアウターとして十分いける。
- 登山の帰り道は街中でも寒いが、そのまま着ていれば暖かく家まで到達。
意図的にスースーするように作ってあるR2は、寝間着/部屋着としては最高である。また、この上にシェルを組み合わせることで保温力が上がる。組み合わせ次第で、色々な使い方ができる。一方のナノエアは、アウター的な要素もあり、単独で色々出来てしまう。選択としては悩ましい。
ハードシェルを羽織り、ナノエアを中間着として試す機会が1度(しかも短時間)なので、何とも言えない部分もあるが、中間着としては通気性に優れるR2に軍配があがるような気がする。本文にも書いたが、ハードシェルを上に重ねると、ナノエアに熱がこもってしまう。ただ、もっと風の強い場所で試せば、あるいは違った印象をもつかもしれない。
現時点では、行動時間があまり長くなく、天候が安定していている冬山はナノエアオンリー(もちろんレインかハードシェルは持って行く)で良いと思う。登山中だけではなく、登山前、登山後も暖かく過ごせる。ただ、行動時間が長かったり、初めて挑戦する山などは万全で臨みたく、中間着としても絶妙な存在感を出すR2を持って行くと思われる。保温については、次に登場するナノパフも含め調整すれば良い。
最後にもう1個、ナノパフとの棲み分けである。ナノパフは現在行動着では着用しておらず、常にザックの中で待機している。このため、R2、ナノエアとも競合しない。
まとめ
- ナノエアは柔らかくて、フワフワしているので着心地が良い
- ナノエアの保温性は、薄くコンパクトな作りから想像できないくらい良い
- ナノエアは雪道をガシガシ汗だくで進んだり、登ったりしても着ていられる
- 行動中のアウターとして、また休憩時間や帰り道までカバーするため、使用範囲は広い
- 通気性はR2の方がよく、透湿性も同様。ハードシェルとの相性もR2は高い。
- 多少の風はナノエアは防いでくれる。ハードシェルをナノエアの組み合わせは、相当寒い環境であれば良いが、個人的にはやは暑い。
- ナノエアは汚れやすそう(ただ、洗濯機OK)、摩耗には強くなさそう
- アウター機能としてはナノエア、中間着として見ればR2 (暑がりの方は)
正直なところ、R2が最強の部屋着であるのであれば、ナノエアは最強のコンビニに行く時のアウター。どっちも普段使いからガンガン行ける良い製品だと思った。
余談
出撃Part1では、本来は平標山に登る予定であったが、豪快に2時間寝坊、そしてアプローチの林道が予想以上の積雪で、ワカンなしでコースタイムの2倍を消費。平元新道を登り始めてしばらくは頑張ったが、急登&膝下まで埋まる新雪でスピードも全くあげられず、途中で断念。天気が良かったので、非常に残念な登山になってしまった。
雪山準備にTOO MUCHはない。