【GAP萌】秀麗富嶽十二景へ初トライ。本社ヶ丸と清八山(2017年11月25日)
その名前変えていただけないか
本社ヶ丸と書いて「ほんじゃがまる」。ホンジャマカ、ジャガリコ、おじゃる丸など、緩い何かが頭を過る名前である。しかし、先に言っておくと、そのゆる〜い名前とは裏腹に、かなりのHard Modeの山である。
週末の天気予報は「晴れ」。しかし強風の予報もあり、てんとらの予想では登山指数は軒並みC。ただ、どうしても登山がしたかったので、高山帯を避けて行き先を探してみた。本社ヶ丸は、山梨県大月市が選定した秀麗富獄十二景の1つ。富士山が綺麗に見える山トップ12みたいなものだろうか。十二景と言いつつ、19峰が選ばれていて、今回の本社ヶ丸も隣の「清八山」とワンセットとなっている。この辺り、詳しくは大月市のHPに掲載されている(大月市秀麗富嶽十二景)。
正午に撮影した富士山(フレアが残念...)
本社ヶ丸を選んだ理由とコース
秀麗富獄十二景は何と言っても中央本線の駅からのアクセスが便利。ほとんどの登山口は、大月近辺の駅から歩いて登山口まで行ける。今回登った本社ヶ丸も同様だ。そして、コースタイムとアクセスの良さにより、前泊なしで東京からの日帰り登山が余裕で可能である。
【情報ソース】大月市HP
最寄りはJR笹子駅。自分だけであれば7時台に笹子に到着できたのだが、お伴した友人(常に顔面蒼白の同行者)は、家からどれほど頑張って到着時間は8時半。なんだかんだで、ほぼ午前9時から登山歌詞となる。上記の写真は大月市HPに掲載されている地図であるが、今回は、清八山に先に向かい、その後本社ヶ丸を経由して下山するコースとした。地図上では、笹子駅から時計の反対周りで登って降りてくるルートである。地図の下側にも縦走路が伸びている。清八山から南にそのまま縦走すると三ツ峠に通じる。ただ、コースタイムは10時間?ということもあり、今回の選択肢からは外した。
さて、出発。(左手奥が笹子駅舎)。
トラブルで始まる登山
最初はこの甲州街道沿いを西に進むのだが、この道を使うのは間違いだと勘違いしてしまい、途中で駅に引き返すという謎の行動をとった。結局、この道で良かったのだが、地図がちょっと見づらかった(言い訳)のである。ここで20-30分ほどロスト。
地図上30分の道のりだったが、意味不明な往復で45分かかる。
やっと山の方向へ進むことが許された。しかし、ここは登山口でも何でもない。甲州街道とはお別れだが、この後もしばらく舗装道路が続くのである。
甲州街道から外れてから少し進むと、トンネルが出現。
全く人気のないトンネルは不気味である。
トンネル通過後も舗装道路を進む。坂道になっていてジワジワとくるものもあるが、気温も低く、快調に「最初の遅れ」を取り戻していった。
TEPCOの発電所を通過。山奥ではあるが、この山域は送電鉄塔や電線が非常に印象的である。登山風景的にはイマイチではあるのだが。。。
発電所通過後は、少し山道っぽい雰囲気が出てきた。勾配もほとんどなく快適である。そういえば、道に鹿と思われる骨と皮があり、テンションが一気に下がった。骨って。。。誰が肉を食べたのさ?
そんなこんなで、やっと登山口到着。地図上のコースタイムだと約2時間となっており、駅からの距離はそこそこある。発電所くらいまでは車で入って行けそうなので、自動車の方は、もう少しショートカットできるかもしれない。
緩い名前と緩くない登山道
登山口のネットをくぐると、それまでのまったりとした舗装道路の道とは全く違う道が始まり、そのギャップに少し驚く。
とにかく道が狭い。左右から植物が絡み付いてくるような場所もある。更には。。。
霜があって所々歩きづらい。 平坦な道であれば問題はないが、登山口から先は一気に登りが始まる。
11月下旬、東京は秋だが、山梨は最東端の山でも冬が始まっているようだ。
この植物だらけの道をグングン登る。一瞬、開けた場所からの一枚。この後、再びネットを通過する。歩きづらい道はそこで終了。しかし。。。
尾根というか、急登がここから開始する。大したことなかろう、と最初は油断する。
しかし、進めど進めど、同じ様な道がずっと続く。
カメラを斜め上に構えており、写真からは勾配がそれほど伝わらないが、結構な角度、そして長い!
同じ様な写真が4枚連続しているが、ずっとこんな感じである。
飛ばしすぎて、燃え尽きる。。。
途中休憩用のベンチがあった。しかし、このベンチは低くて、後に傾いていて、なんだか疲れがとれない気がする。多分、このベンチが急登の真ん中くらいである。
5枚目の同じ様な写真。しんどいの一言。試練のときである。
やっと直登からつづら折りに変化して行く。心なしか明るくなってくる。
直登開始から1時間ほどで、やっと平らな場所に到着。峠まであと僅か。
清八峠に到着。左に本社ヶ丸、右は清八山、そしてその先に三ツ峠。登山口からここまで1時間半。そう書いてしまえば、そんなに短いの?と思ってしまうが、急登だけ1時間半は長い。何とか急登、みたいな登山道と比べても、なかなかハードな登りであった
清八山、そして本社ヶ丸へのプチ縦走へ
もし三ツ峠に向かうのであれば、峠からまず本社ヶ丸に向かうのだろう。いや待てよ、そもそも笹子駅から時計回りのルートで登るのが正解になる。今回は、それはないので、まず清八山へ。ものの数分で到着する。
到着。秀麗富嶽十二景の12番山頂とのこと。確かに、大月市のHPでも、清八山と本社ヶ丸は一番最後に登場する。逆から登り始めたようである。そんなことよりも、清八山は、秀麗富嶽十二景の最南端の山、そして、三ツ峠のすぐお隣である。
富士山が近い!
「秀麗」の正確な定義は言えないが、秀麗は何ですか?と聞かれたら、「これです」と答えてしまうだろう。手前に三ツ峠がいるので、全貌をレンズに収めることはできないが、しかし何とも見事な姿。惜しむべきは、太陽が真上正面にいるため、写真が逆光アングルになってしまったことだ。そして、富士山から視線を右側に動かすと。
南アルプスもバッチリ。もう山頂付近は真っ白である。
素晴らしい展望。急登で頑張った甲斐があった。15分ほど写真をとったり、景色をぼーっと見て休憩。
清八山は期待よりも数倍素晴らしい景色が楽しめた。今度は、今回の目的地のジャガリコ山である。清八峠に戻り、そこから再び山頂目指し、プチ縦走を開始。
素敵な稜線歩き
この山域は標高2,000Mにも満たない山であり、稜線や山頂付近でも少し背の高い樹々が見られる。そんな状況なので、稜線歩きはあまり期待していなかったのだが、ここでも良い意味で期待を裏切られた。
結構な岩岩道が続く。自分の好きな道である。
途中でトレッキングポールをしまった。邪魔なことに加え、腕を使って登る場面が何度か出てきたためだ。
序盤の急登ゾーンとは全く違う雰囲気の山になった。
途中、パーッと開けた場所に出る。清八山より少し東に移動した分、三ツ峠で隠れる部分も多くなるが、解放感がある場所で気に入った。三ツ峠のアンテナ(鉄塔?)もハッキリ見える。
開けた場所の後には、再び岩場。
そして稜線歩きは続く。この写真、なんだかガチャガチャしていて、登山道がどれだかよくわからない。しかし、実際のこの稜線は岩場以外はこんな感じで、道幅は狭く、結構ワイルドさがそのまま残っている。雪があったらちょっと怖いかも。
ここが最後の岩登り。写真の右側は切れている。しかし、事前には全く予想していなかった稜線であった。時間にして40分弱。個人的には、この稜線は、反対方向に歩いた方がもっと楽しいかもしれないと思った。
本社ヶ丸山頂から下山へ
何はともあれ、目的地到着。
富士山だけを見るのであれば、清八山のほうが近くていいかもしれない。しかし、本社ヶ丸山頂からの展望もなかなかのものである。
右側で光るのは河口湖(だと思う)。
富士山の反対側にある標識も一枚撮影。
八ヶ岳は雲をかぶってしまい、イマイチな感じ。大菩薩嶺方面は綺麗に見えたのだが、なぜか写真が残っていない。。。
山頂付近で軽くランチ休憩としたが、天気最高で無風で気持ちがいい。この時、ふと天気予報のことを思い出す。登山指数Cって一体どこいった?ランチを終了後下山開始、時間はよく覚えていないが、1時半くらいか。
直登の反対はなんだ?
本社ヶ丸山頂から、暫くノンビリとした登山道が続く。この写真もそうだが、人が全く写っていない。この日、すれ違った人は5人いたかどうか。ひっそりとした登山である。写真撮影には最高でもある。
予想通りと言うか、序盤の急登があったのだから、下りの勾配もそこそこ覚悟していたが、このあたりから下降開始。落ち葉、霜があり、ところどころで足をとられかける。
下山中、こんな階段らしきものがチラホラ見られる。しかし、落ち葉に埋まっているし、杭が外れてるし、一体?雪対策だろうか。
下り続けると、少し開けて送電鉄塔が登場。冒頭にも書いたが、この登山道というか山域は、鉄塔や送電線が印象的である。
この一帯は笹が茂っており、彩りのある風景である。
鉄塔を超えて、登って下ってをしばし繰り返し、次のチェックポイントへ。
角研山と呼ばれる場所である。山と言っても、樹に囲まれ展望ゼロ。何と言うか、あくまでチェックポイント的な場所でしかないようだ。さて、駅前に掲げてある地図、そして大月市のHPの地図では、角研山は分岐点ではなく通過点になっている。しかし、「山と高原地図」では、ここは分岐ポイントになっている。そう、本社ヶ丸への道は、序盤にアップした地図では2本だが、実は3本あるのだ。ここで、山と高原地図と睨めっこ。どうやら、ここで直進(当初の予定の道)するより、左折(大月市HPには乗っていない道)するほうが時間が短いようである。午後2時を回っており、ノンビリ下山するような時間でもないので、短い方を選択した。
急降下開始。序盤の直登の逆バージョンである。いや、こっちのほうが角度がエグい。
こちらもカメラを斜め上に構えているので、少し勾配がわかりづらいが、同行者が半身体制で下っている通り、急降下である。ただ、その分、どんどん標高を下げられるので、自分としては結構好きな下山道である。絶対に登りでは使いたくないが。。。
急降下が終わり、やっと落ち着く。樹がいっぱい。なんとなく下に向かって歩いているが、標識やマークが少ない登山道なので、明るいうちに通り過ぎたい場所でもある。
再び送電鉄塔が登場。今度は真下から撮影。
鉄塔通過後、再び下っていくと、舗装道路(林道)に出る。地図上では、ここから30Mほど歩いて、次の登山道に入るような表記になっているが、なぜか発見できずウロウロする羽目になる。良くなかったのは、登山道によくみられるピンクのリボンを妄信したことか。あれ続きの登山道がないぞ?と思ったら、林道を下った先にピンク色が見えるので向かってみたら全然違う、みたいなことを繰り返していたら、気づけば何百Mも林道を進んでしまっていた。
そんな愚かな行動をしているうちに3時を回って、少しずつ薄暗くなりつつあったので、元の場所に戻って登山道を探すことは諦め、この林道を下る決断をした。地図上では、林道を進めば、一番最初の発電所付近にぶつかる。少々遠回りだが、やむを得ない。
結局、駅に戻ったのは午後4時半で、ほとんど真っ暗。結構ギリギリな感じだったので、危険の少ない林道を下ったのは正解だったかもしれない。
最後に
試しにトライしてみた秀麗富嶽十二景であったが、非常に気に入った。
- 近場に大菩薩嶺や三ツ峠があるおかげか、登山客が少ないので落ち着く
- 駅から歩いてアクセスできる山が多く、電車の本数もそこそこある
- 本社ヶ丸だけかもしれないが、結構本格的な登山道であり登りごたえ十分
- 富士山はじめ、山頂付近での景色が抜群によい
八ヶ岳やアルプス山系は、登っている山自体の美しさがあり、流石にそれには適わないのであるが、展望の良さだけで見たら、かなりイケてる登山になると思う。ただ、百名山や二百名山のような大人気スポットのように、道なりに歩けばゴールに辿り着ける、という感じとは少し違う点は注意が必要かもしれない。最後に若干迷ったせいもあるが、通常の登山以上に、地図を見る回数が多かった気がする。登山道にも明確な踏み跡がない場所があったり、登山客が少ないので、いつもよりちょっとだけ緊張感を持って臨んだ方が良いと思われる。
今回の登山と言う意味では、登山指数Cという天気予報にも、「ほんじゃがまる」という緩い名前にも良い意味で裏切られ、とても満足度の高い一座になった。十二景コンプリートは、是非目指したいところである。