【隣】意外に本格的で驚く 棒ノ折山の日帰り登山(2017年11月4日)
オススメできる山が1つ増えた
久しぶりに晴れマークの並ぶ週末(そして3連休)ということで、天狗岳登山の翌日、もう1座別の登山を計画した。レンタカーで八ヶ岳日帰りを強行した次の日でもあるので、出来るだけ手軽で行ったことのない山を選びたかった。当初、紅葉の始まりつつある奥多摩に行こうと計画していたが、電車の時刻表や登山道の情報を見ていると、段々と億劫になってきてしまう。電車の本数は少ないし、バスも混むだろうな、といった具合に。そして、奥多摩の地図をぼーっと見ていたときに目に飛び込んできたのが棒ノ折山という文字。埼玉にある山、という印象しかない山だったのだが、奥多摩の川乗山や高水三山のすぐ隣にあることに気づく。
アクセスとルート
最寄り駅は飯能。都心から1時間ほどで到着でき、アクセスは抜群である。自分の住む場所から考えると、丹沢や高尾山、あるいは筑波山よりも圧倒的に早く到着できる。バスは40分程乗る必要があるが、そこそこの本数が運行しており、時間に過度に敏感にならなくてよろしい。
登山口に近いバス停(さわらびの湯)に到着した時、まだ登ってもいないのだが、アクセスの良さに感動して、それだけで満足してしまった。
埼玉県HPより
棒ノ折山への登山道は、奥多摩方面から縦走する選択肢を外すと、さわらびの湯から有間ダムを経由して登るルートが一番メジャーのようだ。
里山へGoの気分で、緩い気持ちで登山開始。
有間ダムから白谷沢登山口へ向かう
舗装道路をテクテク進むところから始まった。
前日の天狗岳は紅葉終了後であったが、埼玉の低山の麓は、紅葉がこれから始まる予感である。
ちょっと歩くと有間ダムへ到着。なかなか悪くない景色じゃないか。向こう側の山は、紅葉まっただ中でオレンジ色に輝いている。
ダムというか橋と言うか、とりあえず向こう側に渡る。この後、貯水池に沿ってのんびり進むことになる。
入口到着。ここまではちょっと坂道があったくらいで、普通の道路を歩いているだけ。登山と言うかお散歩である。さて、ここから登山開始。どういう山なのか。
お散歩モード一転
この日の登山開始時点では、裏山登山、お散歩くらい気持ちでいたのである。のんびり歩ければいいかな、くらいのテンションである。
しかし、登山口から1歩足を踏み入れると、意外にもしっかりした登山道が続いて驚く。
手を使う、とまではいかないが、落差のある登りもあったりして、この辺りからはお散歩モードが吹き飛び、「登山モード」のスイッチが入る。
しかも紅葉始まっていて、日差しが美しい。
おや、なんか凄く美しい場所ではないか?この辺でやっと気づく。この山すごいかもしれないと。登山口からある程度進むと、そこからは沢を登って行くように登山道ができていて、岩、水、苔、そして紅葉が微妙に始まった樹木が、ものすごい絶妙なバランスの彩りをみせる。
マイナスイオンの世界である。
なんだここは?凄い登山道ではないか
沢沿いではなく、沢そのものを登って行く。美しいし楽しいし、水に向かって大きな岩の間を進むことで「冒険感」が半端なく高い。
アルプスや八ヶ岳といった高山とは違う日本の自然の美しさがここにある。お散歩モードで乗り込んできた自分は愚かである。一眼レフをちゃんと持ってきて良かった。
繰り返すが、楽しい。
流れに逆らってどんどん先に進む。
短いが鎖まで登場したではないか。間違いなく、この山を選択したことは正解だ。
後を振り返ってみた。水の上を歩くのである。何も考えずに水の中をズボズボ進んで、一度踝くらいまで登山靴が水没。ヤバいと思ったが、全く浸水せず、この時、ヌバックレザーの登山靴の完全防水の力を痛感した。
登った先から再び振り返る。結構急斜面である。
その後も沢をどんどん上がって行く。興奮しすぎて全く疲れない。楽しい。
途中、少し道が広くなったこの場所に出る。綺麗な場所だ。樹林帯を歩くのはあまり好きではないが、この道は別である。ここまで来るだけで満足できる。
どこまでも続くと思われた沢登りも、そろそろ終わり。
流れがしっかりとある沢を歩き続けたので、登山靴は綺麗なままである。
この階段を上り終えると、沢を駆け上がる登山道はおしまい。
ここで休憩タイム。いやはや素敵な登山道でびっくりした。
沢、鎖の次は。。。
結構な急登が突然始まった。もはや、これは里山ではない。
急登が終わると、ここで初めて「里山」のようなノンビリとした道に出くわす。
岩茸石と言う大きな岩。若者達が上に登ってはしゃいでいたので、さっさと通過。
ここから尾根。ここも綺麗である。左は深い緑で、右に行くほど紅葉しているのがわかる。
結構息が切れるではないか。
標高750Mあたりは、紅葉はまだまだ五分以下であるが、樹によっては完全に色づいている。
ゴンジリ峠。ここから高水三山方面に行くこともできる。もし前日の天狗岳登山がなかったら、ノンビリ縦走するのも悪くない選択肢だったと思う。そういえば、別の標識を見たら、ゴンジリ峠は「権次入峠」と書いてあった。カタカナだとカワイイ感じがするが、感じだと何とも男前な名前に変わる。
峠からもう少しだけ登れば、ゴールである。
到着!
広い山頂、そして下山開始
棒ノ折山の山頂はかなり広々としており、レジャーシートを広げて鍋パーティーでもやりますか、といった余裕がある。この日も天気が良く、沢山の登山客達がランチをしたり、寝転がっていた。自分のパーティは、誰もシートを持ってきておらず、ベンチでランチ休憩。
悪くない景色だ。写真を取り忘れたが、右手側には街が一望できて、西武ドームもはっきり見える。
20分ほどのランチ休憩を経て下山開始。この標識は先ほど岩茸石のところである。ここから写真右奥に進むと、先ほどの沢コースで下ることになる。ただ、同じ道を通るのも面白くないし、手前の道に進んでもバス停に戻れそうなので、「河又バス停」方面の道を進むことにした。しかしである、この標識の方向には道がないではないか。あるのは、岩茸石のみ。
なんと岩の裏に隠れ登山道が!ドラクエのような罠である。
こちらの道はひたすら杉の木の合間を下っていく。沢は全くなく、奥多摩でよく見かける登山道である。一気に下っていく感じで勾配も結構あるので、登りで使うのはお勧めしない(景色もあまりない)。
登りは3時間くらいかけて頂上にやってきたが、下りは2時間もかからず。それくらい、帰りは急降下の登山道になる。さっさと下りたい人には非常に嬉しい設計である。
やはり人気がないのか、沢で出会った大量の登山客は、こちらにはほとんどおらず。静かで、ひっそりとしていて、これこれで癒された。
最後に
アクセスの良さ、変化に富んだ登山道、5時間くらいで降りてこられる適度な長さと、素晴らしい山である。そして、さわらびの湯、というバス停からもわかる通り、温泉もあるので、綺麗サッパリな状態で街に戻ることが出来る。近郊の山だけで考えたら、奥多摩よりも全然行きやすく、筑波山や大山よりもしっかりとした登山を楽しめる。これは良い意味で期待を裏切られ、素晴らしい発見をした一日であった。
標高1,000Mもいかない山でもあり、ガチガチの登山装備は不要だと思うが、この時期は気温も低くなっているのである程度の防寒は必要なのと、靴は是非とも完全防水を履いて、沢で豪快に歩いて楽しんでほしい。
道中、標識が豊富な登山道だなーと思ったが、「マムシ」注意は笑った。本当にいるのだろうか?