【パンパン】夏テント泊で北岳へ出撃だ(2018年8月3日−4日)
南アルプスは最高です
登山計画は突然作られた。数日前に偉大なる「先輩」より登山の招集。お互い多忙な身のため、仕事の状況、天気、プライベートの空き具合が合致した8月の第1週の週末の出撃先は、何か特別な場所である必要がある。北岳だ。日本第2位という誇らしい標高にも惹かれるが、やはり「南アルプス」に惹かれるのだ。異世界感漂う北アルプスも好きだが、南の方が好き。
- 北岳入門者が選ぶルートはコレ
- 南アルプスの醍醐味、それはマイナスイオン
- 写真のない登山、それが夜登山(草すべり朝)
- 朝焼けの中、小太郎尾根分岐から北岳の肩へ
- 北岳の肩から頂上へ
- 標高日本第2位の山頂
- 草すべりを滑り降りてテント回収
- 最後に
北岳入門者が選ぶルートはコレ
選んだのは、広河原山荘→白根御池小屋→草すべり→肩の小屋→山頂。
右俣コース、左俣コース、八本歯のコル、大樺沢などなど、北岳のルートをネットで検索すると色々出てくるが、もうシンプルにピストン。また、テント泊はおろか、登山も1ヶ月ぶりということも考慮して、テント場は山頂ではなく、白根御池小屋とした。それでも標高差1600M以上。遠いぜ。
つり橋から始まる北岳登山。正面にいきなり見えるじゃないか!
南アルプスの醍醐味、それはマイナスイオン
登山道に入った途端感じる冷んやりとした空気。
なんとも言えない柔らかい緑の感じ。南アルプスのこの涼しげな序盤の雰囲気が好き。家電販売で一時期ブームになったマイナスイオンというキャッチコピーは、水素水と同様に懐疑的になるが、きっと南アルプスで感じる涼しげで柔かい感触がマイナスイオンなのでしょう。早く、こういう感触を体感できる空調機を開発してくれ、メーカーさん。
と、マイナスイオンで冷んやりしているのも一瞬のこと。登山口から白根御池小屋までは、地図上のコースタイムが2時間半だが、標高差は700Mある。ちょっとした一山分あるではないか。2時間半で700Mなので、当然急登である。初日テント場までは軽く流して、ノンビリしてから翌日身軽にピークハントだ、という緩い妄想とともに開始した登山は、この急登で出鼻を挫かれた。
何せ普段は身軽な日帰り登山。17kg近い荷物をかつぎ上げながら進む。変態。
1年前のドンドコ沢(鳳凰三山)で序盤に脱水症状で苦しんだが、その轍を踏まぬために、とにかく水分補給、おやつ補給を入念に進む。
途中にベンチが2箇所あったが、その間で温度計をみたら20度ちょっと。荷物は重いし、汗はいっぱいかくが、立ち止まった時に感じる風は冷たくて気持ちいい。
ぐえええ。と口に出してハイクアップ。
「20分です」。でもここから30分かかりました。結局、登山口から小屋まで、トータルで3時間くらいかかったかもしれない。途中でコーヒー飲んだりしたし、急いでも仕方ないからいいが。しかし、ここまでの登山道は展望は全くなく、ひたすら登るだけ。意外にストイックな登山道で少し驚いた次第である。
写真のない登山、それが夜登山(草すべり朝)
これは二日目の下山時に撮影した写真。「草すべり」。白根御池小屋から小太郎尾根分岐に直線的に向かう登山道。その緩い名前とは裏腹にかなりの急登。地図にも「草原状の急斜面500M直登」と記載。
早朝2時起床で、3時出発。真っ暗なので、カメラは役立たず。なので写真なし。
いや、この1枚だけある。4時間。そして、ここから1000M登る。遠いぜ。
ひたすら草と岩のある坂を永遠と登る。白根御池でテント装備置いてきて正解だ。
黙々と1時間ほど登って、ようやく視界が開けたところで、朝焼け登場。登山口から合計何時間かわからないが、展望もなくひたすら登り続けたが、ここから圧倒的な登山道が開始となる。
まずは稜線へ!
朝焼けの中、小太郎尾根分岐から北岳の肩へ
背後に朝日。まだ太陽は低い位置でこちら側まで光は届いていない。幻想の世界だ。
稜線に出て、北岳確認。なんか雲を纏っている。
キタ!鳳凰三山と朝日。
ここが小太郎尾根分岐。奥でトンガっているのは甲斐駒ケ岳でしょう。
ちょっと進んで振り返って1枚だけ。雲海も見える。
仙丈ヶ岳にも朝日到達。この朝日が登り始めた数十分の稜線の雰囲気は厳かで、高揚感もとても感じる。
カメラで色々撮るうちに、先頭をひた走る先輩は、いつの間にか岩の壁にかじりついている。見た目ほどこの壁は大変ではない。北岳のこの登山道は、長くて急登もいっぱいあるが、危険箇所という意味ではほとんどない。上級な人々には物足りないかもしれないが、自分にとってはちょうど良い。
独特な雰囲気の背後。
分岐からあっという間に「北岳肩の小屋」へ。それほど数は多くないがテントもチラホラ見える。ここまでテントを持って上がってくる体力もすごいと思うが、風が結構強い場所でテント泊する忍耐力もすごいと思う。自分なら、風でテントごと飛ばされないかと恐れてしまい、一睡もできない気がする。
小屋前で一枚。
北岳の肩から頂上へ
空へ向かって登っていく。
岩岩の道である。稜線に出てからはアドレナリン全開のため、「苦しい」「きつい」という感情が一切なくなっている。気持ちいい。
背後は相変わらず凄い景色である。
岩の灰色と空の青。
風がピューピュー吹く。普通に寒い。自分はフリース(R2)とフーディニでちょうど良い。とても真夏とは思えない。
肩の小屋があんなに遠くになっている。この稜線上を移動していると思うとテンション上がるわ。
ゴールの予感。
いや、違う。もう1個向こうであった。人がいっぱだ。
最後のスパート。迫力のある光景だ。
背後を見ると、やっぱり凄い。
山頂(3,193M)到着。
標高日本第2位の山頂
山頂はちょっとした広場になっており、結構ゆっくりできる。とりあえず。。。
カップラーメンを食す。どの山を見ながら食べようか。甲斐駒ケ岳、間ノ岳、鳳凰三山、中央アルプス、仙丈ヶ岳。。。
やっぱり富士山でしょう。少しモヤっているが、雲海とともに素敵な出立。
3000Mを超えるためか、次々と雲が通り過ぎる。山頂にいた時間は、薄い雲が山頂一帯を覆って、まるでバリアに守られているような感じになった。鳳凰三山を撮影すると、バリアが邪魔をする。
仙丈ヶ岳を撮ろうとすると、「一反もめん」のような細長い雲が通り過ぎる。
間ノ岳方面。こっちも素敵な稜線が続く。あちら側に行くにはもう1日お休みが必要だ。いつか縦走してみたいものだ。幸運にも山頂付近は風が弱く、ランチも含め30−40分ノンビリできた。
草すべりを滑り降りてテント回収
冒頭に書いた通り、今回は完全ピストン。来た道を引き返す。しかし、夜明け前後と、太陽が高く登った時とでは、同じ場所でも見える景色は全く違うことを実感した。
北岳の肩に戻るときの最期の下りである。北岳の肩の周りの稜線、左手に甲斐駒ケ岳、右手に鳳凰三山(地蔵岳のオベリスクがピコッと映る)、そして、遥か向こうに八ヶ岳。何とも贅沢な景色である。
カメラに夢中になってしまい、歩みが止まる。。。
下りたくない。。。
陽が昇った登山道は、ハイマツと岩と青空の見事なコントラスト。さらば北岳。
最後は、「草すべり」を急降下して、テント場へ戻る。
夜明け前にここを通った時は全く気づかなかったが、「草すべり」という名前通り、草原のように植物が覆い茂る中を進む。高山植物もいっぱい咲いていたが、喉が乾いてしまい、あまり目をくれず、一目散に下に向かった。
白根御池に戻ってからは、撤収準備を終え、早めのランチ(小屋でカレーを注文)、そしてテント装備を再びザックにつめて、登山口に向かった。
最後に
1,600Mという標高差のあるコースなので、登っている最中はキツさも感じたが、本文でも書いた通り、危険箇所の少ないとても歩きやすい登山道だったことが印象的だ。純粋に周りの景色を楽しみながら歩ける稜線が素敵である。また来たいし、今度は縦走狙いをしたいものだ。長くなったので、サイドストーリーは別稿にしよう。
おしまい。
雲がかかった富士山。噴火してるみたい。