【BB弾】テントと山小屋を使い涸沢経由で北穂高岳へ(2017年10月8日)
気合いで風邪を治したのだ
登山前日に体調を崩しどうなるかと思った。土曜日早朝に目が覚めたときは、正直まだ倦怠感が残っていたのだが、前日よりは回復している「気がした」。ここまでくると、直感以外頼るものはなく、前日にパッキングを完了していたザックに水筒をねじ込み、信州への道のりが開始した。今回は3連休ということもあり、普段行けない山に行くことにしたが、当初は「紅葉」がメインで計画を作り始めた。しかし、どこからか計画がパワーアップして、最終的には北穂高岳を目指すことになった。事前に北アルプスの地図や、ネットの情報を確認したが、明らかにハイキング気分で登るような山ではないようだ。
北穂高岳へのルート選び
出典:ヤマプラ
地図を見ると、穂高岳一帯に伸びる登山道は東西南北に色々存在しているのがわかる。しかし、そのほとんどのルートは、最難関じゃないか?と思えるようなキレキレ登山道ばかり。登山経験の浅い自分含むパーティの唯一の選択肢は、上高地から梓川沿いをグルッと東側に回り込み、横尾から登り始め、涸沢カールを経由して北穂高岳山頂を目指すコースだけである。
初日、新宿から特急あずさ始発(午前7時)に乗り松本へ。そこからバスで1時間半揺られて上高地バスターミナルに到着する。ここから川沿いをひたすら歩く。途中、有名な河童橋などを経由するが、初日は生憎の空模様だったため写真は割愛する。当初は、登山口にある横尾山荘に宿泊したかったが、紅葉シーズンと言うこともあり予約できず。少し手前に位置する「徳沢」で、テント泊する計画になった。なお、徳沢園ではテントをレンタルしてくれ、シュラフやマットもある。また、テント設営も自分でやる必要もなく、翌日撤収する必要もない。とても便利だ。
2日目午前2時起床、3時出発というスパルタ登山の開始である。登山口の横尾まで1時間、そこから涸沢小屋までが3時間。途中で朝食や休憩を考えると、8時くらいに涸沢カール到着のはず。そこから、荷物を置いてピークハントという計画である。夜明け前の登山道である、上の写真のとおり、写真を撮るような状況になく、登りの途中までの写真は極端に少ない。
見所多く歩きやすい登山道
横尾までの1時間は当然真っ暗。トイレ休憩後、横尾大橋も真っ暗、その先の砂利道も真っ暗。夜が開けてきたのは、本谷橋の少し前あたりだった。
横尾から60分ほどで来れるが2.8kmも進んでいる。勾配の緩い道である。
まだ朝陽が登り切っておらず、写真にすると、少し味気ない。吊り橋がかかっており、これをユサユサ揺らしながら向こう岸に渡る。(写真は渡った先から撮影)
本谷橋から先は、いよいよ登山道っぽい雰囲気が始まる。地図に「急登」と書かれているとおり、岩岩の上り坂が続いて行く。
高度を上げて行くと、樹々の色も黄色だけではなく、赤も混じり始める。
こういう場面がしばらく続くのだが、勾配がある割には負担感が少ない。また、ところどこで団体グループとすれ違う。流石人気の山ということもあり、次から次へと、下山客が途絶えないことに驚いた。
なかなか巧く撮れないが、紅葉中である。
ここまでやってくると、涸沢が近い気がしてくる。といっても、どこに涸沢カールがあるのか、はたまた北穂高とはどっち側なのか、この時にはさっぱりわかっていない。とりあえずは、紅葉を楽しみながら安らかな気持ちで先に進むのである。
完全に視界が開け、前方に「山」というか「山岳」が見える。どれに登るのかわからないが、凄い威圧感のあり、とても登れる気がしないのだが...
まだ時刻は7時台。影と光がはっきり別れ、コントラストが強いため写真撮影には酷である。でも、こういう風に光があたった場所の紅葉を、本当に綺麗だ。彩り豊か。
写真で見たことのある景色にやってきた。ここを道なりに上がって行くと涸沢ヒュッテ。
そして右に曲がると「涸沢小屋」方面である。今回の宿は「涸沢小屋」である。
涸沢カールへ到着
登り切って見える涸沢カール光景の第一印象は、テントが多い!
お見事な景色です。ここを目的地にする人も多数いると聞いたが、非常に納得できる。凛々しい穂高にぐるっと囲まれ、紅葉もあり、小屋もテントもあり、雪渓まで。
写真にある涸沢小屋に到着したのは8時。予定通りである。ここで宿泊グッズや食糧などを下ろしザックを軽くして再出発。涸沢カールは標高2,300Mくらいだったと思うが、ここから山頂まではさらに800Mも上がる。事前調査で、相当な急斜面もあると聞いており、軽量化必須である。
小屋とカールとは、しばしのお別れ。
登る登る、そして登る
登り始めていきなり「うわー」っと思わず声が出る急登。危険さとは無縁だが、キツい。
でも勾配がきつい分、直線的に頂上に向かっている気になれる。この日(2日目)は天気も最高に良く、とっても気持ちがいい。でも、予想以上に気温が高く、喉が渇く。
涸沢から上は、紅葉というより、「枯れている」印象が残った。これはこれでいい。
一気に登ってきた。涸沢ヒュッテやテント群が豆粒レベル。すごいな〜と関心していると、第1の敵が現れた。
壁というか岩と言うか... 一度通ってしまえば、何てことない落差なのだが、本日最初の壁だったため、心理的に驚いた。写真の右側は、少しスペースはあるが、切れ落ちているのがまた嫌な感じ。ヒョイヒョイと登るものもいれば、ここで固まっている人もいたりした。
登るしかない。息がきれるし、背後の景色は絶景、上を見上げればこんな感じ。気持ちいいの一言である。登山中、いつもキツくて気持ちいいと思う瞬間が必ずあるのだが、きっと変態なのだろう。
テントがBB弾のようだ。そして、カール底に吸い込まれそう。
そして、いよいよここに到着。長い鎖場である。若干(ではないかもしれないが)の高所恐怖症の自分にとって、鎖や岩登りそのものは問題ないのだが、「長い」というのは曲者である。ただ、登りは、鎖はあまり使わずによじ登ることができた。この鎖が終わったところから、更に長めのハシゴもあり、そっちのほうが嫌な感じ。登りで写真を撮り忘れた(ビビって)。
長い鎖とハシゴで、「気持ちいい〜」とか叫んでいたのとは一転、一気にテンションが落ちた。しかし、まだまだ登りが続く。気づけば森林限界になっている。
腿を大きく上げて岩を登り続ける。
よじ登って行く。確か、鎖も一カ所あったが、短いので問題なし。そして何よりも、何となくゴールが近いんじゃないかと思える光景である。
何かの分岐に到着した。まだここはゴールではない。しかし、あと0.2kmという表示で俄然元気になる。ちなみに、手前側に進むと奥穂高ですか。。。
分岐を進むと、ゴールが見えてくる。その一方で、なんという無茶苦茶な道でしょうか、これ。
本当に最後の登り。降りてくる人の顔が笑顔。きっとこの先は凄いのだろう。
北穂高岳山頂到着
.....
最後の急登を登り切ったところで、最初に目に飛び込む槍
前回燕岳にいったときは、雲に隠れて拝めなかったが、今回は目の前にドーンと登場してきた。尖った山頂といい、山肌の感覚、そしてそこに至るまでの稜線といい、イケメンな山である。
山頂の標識と槍。この標識、ボコッと引き抜くことが出来る。標高3,106Mなので、前回の仙丈ヶ岳より高い。調べると、3,106Mは日本第9位だとか。まだ8つもあるのか、高い山が。
山頂は北穂高岳の北峰と呼ばれているが、南峰側を見ると、その頂きにも数人の人影が。何となく羨ましくもあったが、どう見てもまともな登山道があるようには見えない。もしかしたら裏にあるのかもしれないが。
常念岳から大天井岳まで鮮明に見える。左の一番奥側に、燕岳も見えた。なんという達成感。この場所に留まること30分ほど。天気が良く風もないので、ノンビリできた。少し下ったところに小屋も営業していて、そこでジュースを購入。エネルギー補給完了。
問題の下り開始
涸沢小屋を出発したのは9時頃。北穂高岳の北峰到着が13時。すれ違い待ちや休憩などもあり4時間かけて登ってきた。北峰出発は13時半。16時には小屋に戻らねばならないのだ(チェックインもしていないし)。
いつものように下りはスピードを上げて一気に駆け下りた。例の場所まで...
例のハシゴ。よくよく見ればそれほど長くもないのだが、いやはや、その瞬間は長く感じた。鎖での下りも苦戦したが、何とか無事降りることができた。小屋到着は15時50分、素晴らしいタイムマネジメントである。1日目のテント泊、2日目の小屋泊の模様は、また別の記事で書きたいと思う。
最終日3日目、下山へ
朝5時に涸沢小屋を出発し、上高地へ向けて下山を開始。ピストンであるため、これといって書くこともないのだが、悪天候の初日、夜明け前に行動した2日目では見ることが出来ない登山道や上高地の景色を見ることができた。最後に、それらの写真を並べて、この記事を終わりとしたいと思う。
涸沢小屋と涸沢ヒュッテの分岐点付近
本谷橋までの下りで撮影。
本谷橋
これはどこだろうか...
横尾大橋。2日目朝は真っ暗で全貌見えず。左奥は明神岳。
徳沢近くにある新村橋から。
明神分岐。
そういえば、ゴール近くの河童橋の少し前にある小梨平テント場に、温泉があった。ここで綺麗になってから、バスで松本に帰ることができた。
最後に
上高地バスターミナルから徳沢に歩いただけの初日は、歩行時間は2時間。しかし、2日目は3時半〜16時まで12時間近い行動時間となり、体力的にはかなりキツい登山であった。理想は、初日に涸沢まで登り1泊し、2日目に涸沢カールから北穂高岳や涸沢岳のピークハントを楽しみ、その日は小屋泊という流れか。しかし、あずさ始発ではそれも出来ず。JRよ、頼むからあずさの始発を6時にしてくれ。
紅葉は、涸沢カールから下の方が見頃だった。都内にいると紅葉といえば黄色がメインになるが、赤系が加わるとグッと色鮮やかになって素敵だ。あと1週間早かったら、涸沢カールの上の方も紅葉が楽しめたのだろうか?いや、しかし、森林限界をむかえる様な標高は、紅葉とかはないか...
そういえば、今回混ぜてもらったパーティーには登山歴数十年の大鉄人がおり、山中ご一緒させてもらった。自分より年齢はずっと上の方なのだが、かなりキツい行動日程をものともせず、スイスイと登り、自由自在に下ってくる。自分も登り続けたら、同じようにできるのだろうか。鎖の下り方を教えていただいたり、色々な山や道具の話で盛上がったりして、とても有意義な時間を過ごさせてもらった。