【カオス】テント泊vs山小屋泊 二兎を追い失敗する話(北穂高岳登山 番外編)
要は何を重視するかの問題でもある
先日の北穂高岳登山は、素晴らしい天気のもと、川沿いの緩やかな道を進むノンビリ登山と、鎖+ハシゴ+岩ゴロゴロのオラオラ登山の両方を楽しみながら(一部悶絶しながら)、最後には槍ヶ岳含む北アルプスの絶景で締めることができた。出来れば頻繁に訪れたい場所ではあるが、都心から見ると南アルプスよりも奥地にある上高地は、宿泊のアレンジを含め、登山計画が若干難儀である。
今回、上高地に入ってからの2泊3日は、
- 徳沢園でのテント泊
- 涸沢小屋での小屋泊
という組み合わせとなった。
相変わらず手ぶれする構え方
テントを担がないテント泊という選択肢
本編でも書いた通り、今回1泊目に利用した徳沢園は、
- テント、シュラフ、マットをレンタル可能。
- テントは既に張った状態で準備されており、すぐに入ることができる。
- 逆にテントなどを畳む必要はなく、早朝出発等で時間を節約可能。
- すぐ横に徳沢ロッジがあり、お風呂に入ることが出来る。
- 売店、自販機(缶ビールあり)、カフェ(?)があり補給可能。
- 翌日のお弁当を注文できる。
テント泊といいつつ、何kgもあるテント道具を持って行く必要はなく、一方で山小屋のような共同生活を避けることもできるため非常に便利。お弁当が若干残念な感じがしたが、トータルで見ると満足できた。
今回借りたテントは、こんな感じで大きなタイプで、2人だと隙間がありすぎて寒く、3人でもまだ余裕がある感じだ。テント道具の重量から解放され、その分、食材やおつまみを充実させることで、充実したテント泊になるだろう。ちなみに、この日、韓国人パーティが壮大な焼き肉パーティをやっていて羨ましかった。
なお、徳沢園に絞ってもう1個付け加えるとすると、ロケーションは上高地バスターミナルから2時間、横尾から1時間と「中途半端な位置」にある。だからこそ、この紅葉シーズンでも無事予約できたとも言えるのだが、涸沢方面に登山計画をする場合、横尾山荘泊よりも1時間行動時間が長くなってしまい、実際に自分たちも3時出発というプランになっった。
カオスと化す山小屋(人、熱、音)
山小屋の最繁忙期は1枚の毛布を2人で分け合う、といった話は以前から聞いていたが、まさに今回はそんな状況であった。計算上、1人に与えられたスペースは幅20cm。子供でもない限り、この幅に収まることは人間として不可能である。横の人と密着するか、横を向いて寝るかの選択肢しかない。甘ったれるな!とお叱りを受けるかもしれないが、無理なものは無理である。
狭い部屋に50人以上はいたと思うが、流石にこの「無理ゲー」感を悟り、部屋の中にある荷物を置くスペース、あるいは階段や廊下などの共用スペースに無理矢理寝場所を確保する人が続出。追いつめられた人間は逞しいのだ。しかし、自分はその波に乗り遅れ、大部屋からの脱出に失敗した。結果、ほぼ一睡もできなかった。
人と隣り合わせになることは覚悟していたし、耳栓も装備していたが、最大の敵は部屋の室温。部屋が定員オーバーのためか異常に暑い。Tシャツ短パンでも汗が出てくるレベルである。そして、更に不運なことに、近くに大音量のイビキ人がいて、耳栓という文明の利器の防御力を突破してくるではないか。
この日は朝2時に起きて麓から北穂高岳を回っており、通常であれば、一瞬で眠りに落ちるくらい疲労感。にも関わらず、まさか一睡もできない状態になるとは、この環境、なんという破壊力。自分の近くの人たちは、同じように寝りにつけず苦悶していた。
もう仕方がないので、目を瞑り、ひたすら耐えるのみ。目を瞑って横になれば体力は少しは回復するだろう、と祈りながら。幸いなことに、翌日は下山だけだ。この紅葉シーズンまっただ中で、山小屋の予約がとれただけでも有り難いと思わねば。
なお、可哀想なことに、遥々イギリスから涸沢にやってきたお兄様が、このカオスに放り込まれる場面に遭遇した。目は点、まさに絶句という表情。生まれも育った文化も話す言語も違う自分であるが、彼の顔に描き出される「驚き」を読み取ることは容易かった。翌日の朝3時半頃、外のテラスに佇む英国ハンサムマンを発見したが、目の焦点があわず、憔悴し、魂が抜けていたのだ印象的だ。彼にとっての涸沢は、美しい場所、絶景に囲まれた神秘な場所ではなく、アンビリーバボーな場所と刷り込まれたに違いない。
以下、カオスな山小屋泊必須/便利アイテム
- 【耳栓】ないよりマシである。
- 【短パン】今回の灼熱部屋であれば必須。パンツ一丁で寝るわけにはいかないので。
- 【シュラフ】廊下などで寝る場合にあると便利。1キロ近い過重だが、不眠よりはマシだろう。
紅葉シーズンの山小屋は、文句言わずに寝不足を受け入れるか、心を無にして寝る努力をするしかないようだ。実際、目を瞑って横になるだけでも体力は回復した。ただ、涸沢までの登りはそれほどキツくないので、次にこのシーズンに来るときは、絶対に「テント泊」をしよう。
いいとこ取りは出来ない
今回の山小屋泊で激混み満員電車状態に遭遇したのは、季節要因が大だと思われる。こ激混みだった点を除くと、1泊目はレンタルテント泊、2泊目は山小屋という組み合わせは、携行する重量と言う観点で言えばメリット大である。事実、今回は2泊でありながら、バルトロ75ではなく、普段使っているオスプレーのケストレル(38リットル)で間に合わせることができた。
ただ、食糧の携行には、なかなか苦労した。
テント泊があるので、調理器具やラーメン、そしてドライフードを持って行った。一方で、徳沢園でお弁当を朝、昼分を入手してしまい、最後に辿り着いた涸沢小屋は食事付き。何が言いたいかと言うと、常にザックに余計な食糧入っている状態になってしまい、かつ、それがずっと減らない状態がキープされてしまったのだ。行動食や非常食は別途持っていたことを考えると、明らかに配分を失敗した気がする。食糧は重量アップに繋がりやすく、また嵩張るため、終止「邪魔」という感覚に苛まれてた。
テント泊だけの計画であれば序盤は重いが徐々に消化して軽くなるし、山小屋だけであればそもそも食糧が少なくて済む。今回、両方を組み合わせたことで、ザック内に常に食糧が溢れ帰ってしまい、テント泊道具を持たないことによる軽量化のメリットを相殺してしまったというわけである。
ヘルメットのお話
最後にヘルメットのお話である。
今回の北穂高岳登山では、幸いにして転落も激突も、落石直撃もなかった。ただ、登りの途中、前の人が誤って蹴っ飛ばした拳くらいの石が目の前をかすめたり、不注意に岩に頭をぶつけたり、というアクシデントに遭遇しており、やはり必須だなと感じた。ただ、予想通り、装備中はとっても暑かった。
最後に
今回得た教訓
なお、1週間もたつと、全てが楽しい思い出になった。