【宝】グレゴリーの冬用ザック アルピニスト35がやって来た(GREGORY Alpinisto35)
念願の2台体制となる
以前の記事でも何度か書いているが、日帰り登山で使用しているOSPRAYのKestrelという38リットルザックが、かなりボロボロになってきてしまった。このザックは他の有名なザックに比べてグッとお値段がお得にも関わらず、背負い心地、使い勝手が良く、山小屋泊や雪山登山でも活躍。まだ十分使える状態なので、使用頻度を減らして、もう1年位は使いたい。そういうわけでバックアップのザックを求めた。
さて、何を買うか。同じKestrelを買うか、それともカリマーあたりに浮気するか。いや、もっと他人と被らないヤツがいいかもしれない。ワクワクしながらザックコーナーで色々と背負ってみた。
候補になったが採用されなかったザックたち
KarrimorのRIDGE40は何度か背負っており、最悪何も見つからなければそれでよい。GREGORYのZ40も悪くはないが、ちょっとフォームがイマイチ。とりあえず、色々試してみた。
MilletのUBIC40。
超赤である。雪山用に作られているようで、アイゼンやピッケルを据え付ける場所がある。容量も悪くないし、内部へのアクセスも悪くない。しかし、、、圧倒的にザックが体に合わない。背面を調節できるタイプでもないし、サイズもワンサイズしかなく断念。MilletはSAS Feeという人気ザックもあるが、これも体に合わない。どうやら、ザックについては、ミレーとは縁がないようだ。
OSPRAYのVARIANT37。
コイツも目が飛び出すほど赤い。石井スポーツの店員さん曰く、雪山用のザックの中で、バリアントは最も人気があるようだ。何と言っても、一目見れば嫌でも目に入ってくる、フロントの袋。カンガルーのような大きな大きな袋。アイゼンや、濡れたものをバンバン放り込める。フォルムもカッコイイ。よし、これで決めよう。
しかし、何と体に合わない。ミレーよりもフィットはしているものの、何か変な感じである。Kestrelは背面調整ができるのだが、Variantは調整不能なためダメ。LとMを試したが状況は変わらず。
残念である。。。
GRANITE GEAR!?スラッフバッグのメーカーだとばかり思っていたが、ザックもあるのね。しかも、独特の形が素敵すぎる。しかし。。。これも体に合わず。この後、マムートやMountain Hard Wearなども次々の背負ってみたが、あまりコレといったものに巡りあえず、Karrimor RIDGEに落ち着こうとしていた。
そんなとき、店員さんが持って来たのがコレ。
GREGORY ALPINISTO35 Mサイズ
目がチカチカするようなライムグリーン。なんだこれは?と思いつつ、背負ってみて、妙なフィット感が心地よく、結局これを購入してしまった。
アルピニスト35の外観など
シンプルなようでいて、下半分は色々くっついていて忙しい感じ。当初は色で悩んだが、赤系ばかりの登山道具の中で、緑もいいじゃないか、と整理してみた。
いつも使用しているKestrelと並べてみた。大きさはほぼ同じ。重量も1530g(Mサイズ)であり、Kestrelとあまり変わらない。使う場面がそれほど変わることを想定していないので、サイズ感は同じくらいになるのは当たり前ではあるのだが。
Alpinisto35は、潔い一本締め。よくあるカチッとやるタイプではなくフック。
では、解体ショースタート。
収納力は期待以上とまではいかないが結構十分である
とりあえず、まずは目に留まる、フロント部分のカンガルーの袋。
ガバッと開く。当然、ここにはアイゼンを放り込むことが想定される。
アイゼンの歯が擦れることを想定して、ポケット内部の記事は強化バージョン。
アイゼンカバーを付けた状態で放り込んでみた。ちょっと窮屈な感じである。もっと気持ち良く包み込まれることを期待していたので、少し残念である。ただ、アイゼンカバーを外して放り込めば、スッポリ収まる感じである。なお、ワカンの収納は難しい。
雨蓋の収納はかなりある。500ミリペットボトルが何本も入りそう。行動食、地図、防寒具など、使用頻度の高いものはドンドン放り込めそうだ。ただ、反対に、雨蓋の裏側の収納はかなり残念なレベルである。財布、携帯などの貴重品くらいか。
真上から中を撮影。1気室のザックである。Kestrelは2気室であるため、底にレインウェアやハードシェル、ニット帽はじめとする防寒具などを放り込んでおけたが、1気室のAlpinistoの場合、入れる順番を少し考えておく必要がありそうだ。
ハイドレーションのポケットも装備。しかし、自分はハイドレーションの装備を持っていない。
右のウェストベルトには小さなポケットあり。iPhoneがちゃんと入る。バルトロ75はここが残念だったし、Kestrelもウェストベルトのポケットは結構残念なサイズである。ただ、サイドポケットにスマホを入れることもないし、自分としてはあまり重要視していないかもしれない。
そういうわけで、収納力については、良くも悪くも「期待通り」である。
機能性が結構凄いが使いこなす自信はない
まず、フロントのカンガルー袋に下にあるピッケル置き場。Kestrelは完全にピッケルをザックに「括り付ける」感じだが、こいつは収納場所がある。アイスクライミングする人などは、二刀流になると思われるが、それを想定して作られているようだ。
差し込んで安定させる。
なお、この写真の収納は、使い方が間違っている。ピッケルとカンガルー袋にあるリングに通してしまっているが、これではアイゼンが収納できない。。。リングは、一本締めベルトが通るところである。
次に、この圧倒的な開放感。
サイドのジッパーを開けると、下の方にパッキングした荷物もあっという間にアクセスできる。バルトロ75もそうだが、Gregoryのザックの内部へのアクセスのし易さは気持ちがいい。
なお、ジッパーは2つあるので、下の方から開けることもできる。
ところで、メインのザック入口がこれ。紐が2つある。どっちも引っ張ればスルスルスルと開いてくれるので、これまた気持ちがいい。なんで締める口が2つあるのだろうか?と買った時は疑問に思っていたのだが、ネットで色々見ていて答を発見。
ヘルメットを入れる場所らしい。アイスクライミングにも使われるザックらしい工夫だ。
そんなわけで、雨蓋は何と着脱可能になっている。グレゴリーのHPを見ると、雨蓋とヘルメット置き場の間にロープやらマット等を挟み込んでもいいらしい。
背負い心地は最高です
見ての通り、しっかりとしたヒップベルトとなっている。そして、何と雨蓋同様、このヒップベルトの「包み込む」パーツも着脱可能である。戻すのが面倒なので写真はないが、紐だけにすることが可能になっている。
着脱可能と言えば、このフレームシートも簡単に取り出せる。HPによれば、フレームシート、ヒップベルトのベルト本体以外の部分、雨蓋など合計で450g分を外せる構造のようだ。クライミングをする方であれば、g単位で重量を気にされると思われるが、これはなかなか良く出来たザックである。しかし、クライミングは一生やらない自分にとっては、軽量化の恩恵を感じる場面には 遭遇しないかもしれない。
話がそれてしまったが、背面、ヒップベルト、そしてショルダーストラップには、こんな感じの柔らかい素材が使われており、背負い心地が極めて上質。そして何よりも、荷物を搭載して背負った時に、肩にかかる負荷が少ない。Kestrelだと肩に一番重量がかかっている感じが残るが、Alpinistoはうまく分散している感じがする。流石バルトロを作っている会社だ。
今回購入を決めた理由は、色でも着脱可能な機能でもなく、この背負い心地の良さ。フォルムもZシリーズより良いのもあったが。是非一度お店で背負ってみてほしい。
実際に使って見た
ちょっと事情もあり、背負った写真がないのが残念である。
これは先日の秀麗富獄十二景を回ったときのもの。雨蓋のデカいポケットには、行動食、地図、サングラス、ペットボトル、ミニ三脚が入っている。デカすぎて、色々収納できてしまうので、逆に中が大変なことになっている。
九鬼山の山頂で、下の方から防寒具を取り出したのだが、やはりガバっと開いてくれるので非常に楽である。なお、雪のない登山だったので、この日は雪山装備はなし。アイゼンを収納するカンガルーの袋には、「水」を入れている。
これは硫黄岳登山(1月7日-8日)のパッキング。雪山道具一式(アイゼン、ワカン、ピッケル)、ハードシェル上下、一眼レフ、三脚、コッヘル、食糧、着替などなど、全てを搭載した状況で、唯一水だけが入っていない。
そう、このザックを購入した後に唯一後悔したのがこの点である。ボトルホルダーがないのである。アルパインザックなので当然の仕様であるのだが、これは極めて甚大な影響がある。写真は、ザック右側を写したもの。実は左側に小さなポケットがあって、ここに「水ボトル」を収納できると勘違いしただが、そのポケットは伸縮しないタイプで、多分ポールを差し込んだり、地図を収納しておくくらいの用途になる。
硫黄岳登山では、水(2リットル)の搭載が難しく、結局Kestrelに替えて出発したのであった。よく考えてみれば、雨蓋に小さい水筒を入れて行けば良かったのだが、この時はショックのあまりザックを変更してしまった。
高川山と九鬼山のときは、試しに、外付けのドリンクホルダーを装着してみた。悪くはないが、水筒がプランプランしてしまい、安定感を大きく欠いた。そういうわけで、Alpinisto35で出動する場合、運べる荷物の量はKestrel > Alpinistoとなることが判明した。遂にハイドレーションの装備を買う時がきたということだろうか。
まとめ
【良い点】
- 背負い心地が最高に良く、バランスが良い。
- ザックの上部、あるいはサイドから内部へのアクセスが良い。
- ポケットやメイン気室へのアクセス時に開閉するジッパーやコード類がスムース。
- フォルムがスマートで、野暮ったさがない。
- アイゼン、ピッケル、ヘルメットの雪山道具の置き場所がはっきりしている。
- アルパインザックなので雪の侵入に強い(Kestrelだとヒップベルトやサイドポケットが雪が侵入して面倒である)
【残念な点】
- ドリンクホルダーがない。
- ボトムストラップがないので、マットなどを括り付けられない。
【評価保留の点】
残念な点、そして評価不能な点は、ザックのそのものの評価を落とすものというより、用途の問題でもある。ドリンクホルダーがない点はショックではあるが、何とか工夫してやりくりして行こうと思う。
さらに使い続けた結果のレポート(2018年2月22日加筆)
1月、2月と仕事の都合もあり、なかなか高山帯に出かけるチャンスがなかったが、雪の少ない低山で引き続きAlpinisto35を使い続けてみた。やはり、ファーストインプレッションでも書いた通り、背負い心地の良さ、荷物の出し入れのし易さの二点は抜群である。低山であったが、山専ボトルや「おやつ」、そして温泉キットなど色々詰め込んでいたが、乱雑に放り入れておいても、上から横から簡単に取り出せる。そして、ファスナー類がとってもスムーズ。これはバルトロも同じ。グレゴリー恐るべし。
また、冬用ということで、気にせず雪の上に放置できる。ただ、背面ぱっとが汗で濡れていると、雪がくっついてしまう。。。
ぐちゃぐちゃの登山道でバランスをとって歩いている最中、背後から1枚。わかりづらいかもしれないが、このザックは荷物の出し入れがしやすく、一本締めなのでトップ部分の開閉も楽チンなのだが、反対に、メイン気室上部や雨蓋の中の荷物をある程度綺麗にしておかないと、一本締めであるが故にザックの形が綺麗に見えなかったりする。3、4回使って、やっとコツを掴んで来た。
とりあえず、今回の追加はここまで。また追加レポートを書きます。