【Lv.アップ】南アルプス鳳凰三山テント泊の天国と地獄 (2017年7月7-8日)
念願のテント泊を無事終えた。そして、何となく名前がカッコいいので行きたかった鳳凰山(鳳凰三山)だ。期待と覚悟を持って臨んだが、期待していた以上に素晴らしく、思っていた以上に苦戦した2日間だった。日帰り登山と違い書きたいことが沢山あるが、全てを一度にアップすることは難しいので、今回は登山模様のみにとどめ、色々なサブストーリーはまた別の機会にしたい。
鳳凰三山で選択したルート
情報ソース:鳳凰小屋HP
テント泊の地は鳳凰小屋。地図を見ると、登りは御座石コースかドンドコ沢コース、下りというか帰りは、ピストンする以外に中道コース、夜叉神コースもあり、組み合わせが色々ある。最終的には、青木鉱泉から始まるドンドコ沢コース(6時間)で登り、夜叉神コース(薬師岳から5時間)で降りるルートを選択。
ドンドコ沢ルートをドンドコ登る(青木鉱泉からの登り)
JR韮崎駅からタクシーで登山口である青木鉱泉へ。最寄り駅の始発に乗っても、韮崎着は8時半。ドンドコ沢コースは標準コースタイムが6時間なので、9時半登頂開始で鳳凰小屋へは休憩など入れると4時を過ぎる。若干無謀な計画でもある。
ドンドコ沢コースの始まりである。
基本はドンドコ沢(川)に沿ってグングン登っていく。最初の2時間は、きっと通常であれば何てことない登りだったのかもしれないが、本日20キロ近い荷物を背負っておりキツイ。経験のない負荷、気温と湿度にやられ、開始1時間半で脱水症状気味になる...とりあえず水分大量補給、ウイダーイン持ってきて良かった。
行動中、何度となく水と遭遇。緑とコラボしてとても綺麗だ。
重さと暑さに耐えて、ようやく第1チェックポイント。南精進ヶ滝到着。
滝だ。滝はカメラで表現が難しいモノのひとつかもしれない。この滝を見ないで、そのまま登山道を進むこともできる。しかし、この滝を見る代償として、登山道に戻るため、ロープのかかった岩場をよじ登ることが必要となり、大きな荷物を持つ場合はよく検討したほうがいいかもしれない...
南精進ヶ滝からは、それまでの沢沿いルートとは違う様相。岩が妙に多くなり、勾配もあり、場所によっては手を使うケースも増えてくる。ザックが重い。
急登というか、よじ登るような登山道が続き、このエリアの写真がほとんどない。カメラを構える余裕がない。上の写真のように、レンズが湿度で曇っているが、それに気づかず...
眺望の望めないドンドコ沢コースは、その代わりと言っては変であるが、数々の滝を見ることができる。これは五色滝。相変わらず、下手な腕前のカメラでは、圧倒感が伝えられないが、ものすごい迫力であった。
同行人を構図に入れて、とりあえず大きさだけを表現してみた。
滝通過後もまだまだ登る。
2日間の行軍の中で、この看板が妙に印象的だった。もう少しである。
看板を過ぎてしばらく歩くと、沢に出た。ようやく平坦な道である。
沢を歩く間、一瞬前方に何かが見えて、雲の中に消えていった...(前方は地蔵岳)
ようやく鳳凰小屋到着!安堵である。
登りの要所の写真が1枚も残っていないことが、いかに、バテバテだったかを物語る。荷物の軽量化、水分補給の大切さを身にしみた登りだった。到着が16時を回っていたが、何とかギリギリなコースタイムだ。到着後、テント設営、食事、宴会と続き、就寝タイムとなる。夜中に小屋に猿(?)が襲撃したようで、鳴き声や追い払う人々の気配で目が覚めたりした。
早朝の地蔵岳はやばい
テントの中で眠ること数時間。翌日、寝坊した。アラームは3時半にセットしたが、なぜか起きられず。同行人に起こされたのが4時過ぎ。慌てて着替えてピークハント準備。小屋にテントや荷物を置き、軽装で地蔵岳を目指すプランである。
小屋から出発すると樹林帯の登りとなり、それを終えると、いきなり砂地が登場。朝焼けでオレンジに染まる砂の坂は、ここは山か?、と思わざるを得ない。
ヤバイやつである。本当に山の頂上なのだろうか。
小屋から頂上は1時間20分となっていたが、砂地までは30分くらい。そして、そこからは、この砂にズボズボやられながら、ひたすら上に見える岩を目指す。キツイという思いよりも、オベリスクの威圧感のある光景と、朝日に照らされたオレンジ色の砂が素晴らしく、至福の上り坂であった。
山頂付近到着!(ここは色がオレンジではない...)
看板と一緒にオベリスクを撮影。この看板、なぜか脇(?)にある。そして、オベリスク側へ接近。
岩場の向こうに出て見た、またしてもヤバイやつ。甲斐駒ケ岳(だよね?)。
最後にオベリスク。当然ながら、チャレンジなどしない。
圧倒的な存在感、登っている時の高揚感、そして息をのむ眺望。地蔵岳という名称からは想像できない凄さを感じざるを得ない。頂上付近で興奮し、体が一気に軽くなったような気がして、飛ぶように下山。僅か20分くらい?
鳳凰小屋に戻り、準備開始。南アルプス天然水を満タンに補充。(一般は左です)
2つ目の目標 観音岳を目指す
テントを撤収し、荷物を整理して、いざ出発。鳳凰小屋を後にする。とっても整備された綺麗な小屋、テント場であった。この高地にすごい。
鳳凰小屋は、稜線から少し低い場所にあるため、またしても登りである。数時間ぶりの20キロザックに体を慣らしながら登っていく。ドンドコ沢よりも楽に感じた。慣れたのか、地蔵岳効果かわからないが。とりあえず、グングン登り、再び稜線へ出る。
地獄?
稜線に出ると、左は地獄のような岩場と雲。
右手に快晴の北岳。なんだこのコントラストは。しばし見とれる。
写真を撮りまくり、ちょっと休憩をしたあと、観音岳へ向かう。さっきの地獄側へ。
登れということです。
後を振り返ると、ヤバイやつ。早朝に登ったオベリスク付近も見える。
再び前を向いたら登る。
あの向こうに見えるのが観音岳の山頂である。進むしかない。
雲が接近。稜線を歩いて山頂に向かう途中、何度も山頂が雲に覆われては、再び晴れ渡りみたいなのが連続する。面白い。
観音岳山頂!
鳳凰三山の中で一番高い標高2,860M。地蔵岳のような「近づいてきた!」という高揚感が少し弱かったが、雲がかかっては抜けていく様を見ながら接近するのも、また非日常な感じでとてもよかった。
バンザイ with 北岳(眺望がすごくいい)
ここでも来た道を見てみる。振り返るとやはり、ヤバイやつ。
大迫力の眺望を堪能した。最後の薬師岳へ向かう。
雲が襲う薬師岳へ
薬師岳へ向かう途中、雲がいっぱい。何度か自分のそばを通り過ぎたのだろうか?全くそんなことも気にならず、稜線を進む。
観音岳へ向かうルートと異なり、上り下りも少なくて歩きやすいが、進行方向から見て右側が急な斜面になっていて、ゆっくり歩けない(怖くて)。
雲の大群に襲われる薬師岳の山頂へもう少し。最後の登り。
山頂到着。広場になっている。雲に襲撃された山頂なので、写真も白黒。
何とも味気ない1枚である。雲よ、どいでくれ。
しかし、振り返ると、やはりヤバイやつ。観音岳が雲に襲撃されている。しかし、薬師岳で短いランチをとっていると、雲がなくなり、一気に晴れる。暑い。水分、栄養分を補給して、名残惜しいが下山へと向かう。ここから5時間という地図上のコースタイムである。
夜叉神コースで下山していく
薬師岳からは、夜叉神コースの他、中道コースというルートでも下山できる。後者の方がコースタイムは短そうなので、ここで一瞬迷うが、当初の計画通り、夜叉神コースを選択することにした。
薬師岳からほんの少しだけ進むと...登り返し??? 写真の右下に映る薬師小屋は現在改修中。工事現場を見たが、とってもキレイにリニューアルするようだ。泊まってみたい。
登り返しを切り抜けると、樹林帯が見えてくる。圧倒的な稜線生活もここで終わりである。この後は、樹林帯をひたすら下るはずである。
1時間ほど下ると、南御室小屋へ出る。コーラが売っていたので補給。体に染みる。非日常と離れて登山しているのだが、これくらいのチートは許容されるだる。ここでは水の補給も可能なので、南アルプス天然水を再び充填する。
小屋から次のチェックポイント「苺平」までは、またしても登り。決して急登ではないが、ここまでの疲労もあり、ジワジワ効いてくる。
苺平を超えると、開けた場所も出てくる。雰囲気が八ヶ岳のようだ。
2800Mから1400M付近への下降である。平坦な道、なぜか登りを織り交ぜながらの5時間、下るときは結構一気に下る。体のバテはあまりなかったが、20キロを背負い続けての行軍で、靴の中でエマージェンシーコール。また後日の機会に。
途中、夜叉神小屋で休憩を挟み、何とか登山口へ到着。16時半のバスで甲府駅に向かった。山奥から都会の甲府駅までは長い道であった。
最後に
何だか写真をアップし続けただけの投稿になってしまったが、変な文章より写真の方が説得力があると信じて。大型ザックを満載にした行軍、南アルプス、テント泊と初めてつくしの2日間だったが、精神的にも肉体的にも山あり谷あり、道のりも文字通り山あり谷ありで、とても良い経験になった気がする。南アルプスの登竜門として紹介される鳳凰三山は、行動時間も長く決して楽勝の部類には入らないと思うが、登山道はわかりやすく、目印も「素晴らしい」わかりやすさで、とても安心なコースだったと思う。コースもわかったことなので、次回は、小屋泊や、もう少しコンパクトなルートで、軽装でチャレンジしてみたい。きっと、違う感じ方が出来るのではないだろうか。
さて、この日のために揃えた道具を初めて実践したし、これまでの日帰り登山では気がつかなかったことも多々あり、是非、別の機会にアップできればと思う。長い記事を読んでもらい、ありがとうございました。
下山途中の1枚。笹が綺麗だった。
準備編は以下のリンクです。
南アルプステント泊第2弾、第3弾の記事は以下となります。