【DRY】日帰り登山の限界を試すべく蔵王山へ(2018年8月13日)
ギリギリ楽しめるかどうかの境界線
山の日(8月11日)を避けて登山計画を立てようとしたのだが、「テントラ」曰く、近場の山域は登山不適。大気の状態が不安定なようだ。2ヶ月ぶりに登山に繰り出す友人は、悪天候は避けたいということなので(そりゃそうだ)、計画を立てつつも、既に候補はかなり絞られている状態になっていた。
選ばれた蔵王山は、百名山のひとつ。積雪期であればスノーモンスターで有名な場所であり、また単純にスキー場としても有名だ。事前調査をするまでもなく、山頂付近までバスやリフトでアクセスできることから、敷居の低い百名山のようだ。
1週前に北岳テント泊をやった後なので、今回は超緩い登山である。
日帰り登山の限界点か?
公共交通機関を使った日帰り登山、つまり、東京を朝に電車で出発し、その日のうちに東京に電車で戻ることができる登山、それが自分の中心的なスタイルである。丹沢、奥多摩、秩父であれば問題はないが、少し離れると、突然選択肢が狭まる。例えば、八ヶ岳では、南側の網笠山や権現岳、あるいはアクセスが容易な北八ヶ岳は特急始発で問題ないが、核心部である赤岳やその周りの山になると、前泊しないと難しい。一方、谷川岳や安達太良山などは、東京からの距離はあるが、新幹線があるので早い時間に登山口に到着することができる。特急や新幹線の利用の可否と、駅から登山口までアクセスの良さ、あとは登山道の長さで、日帰りできるかどうかが決まる。
そういうわけで、結論としては、東京からの日帰りは可能。実際、5時に自宅を出発し、午後10時前には帰宅している。
マッタリ登山
冒頭の写真は、蔵王温泉のバスターミナル。到着は10時過ぎ。ロープウェイは更に5分ほど歩く。
山麓駅。夏休みなのに、人がまばらである。
一気に稜線へ。チート感満載だが、今回は割り切っているので良いでしょう。
ロープウェイは2段式。途中で別のロープウェイに乗り換えて山頂駅へ。
山頂駅に着くなり、お腹が空いたのでカレーを食べる。全く登山感のない緩い展開。
満腹→出発。緊張感ない登山開始、時刻は11時半。
登山道は迫力満点あり(熊野岳へ)
カレーを食べていた「地蔵山頂駅」は標高1,661M。涼しい。山形駅に降りた瞬間も、東京とは比べ物にならない過ごしやすい「空気」を感じたが、山頂はまた別格。同じ日本なのか?風はひんやり、そして湿度が低い。最高な避暑登山だ。
歩き出した時点で既に11時半。そして今日中に東京に戻るし、温泉も入りたい。そんなワガママなプランのおかげで、登山で歩き回る時間は4時間という計算。下調べも中途半端で、とりあえず、ロープウェイ駅から地蔵山→熊野岳→苅田岳と縦走して、ピストンで戻ってくるとちょうどいい感じのタイムで収まることだけは抑えていた。
最初の地蔵山は100Mも標高を上げずに到達するのだが、カレー直後のため苦しい。
地蔵山から見た山形市内方面。右下に、地蔵山麓駅(水色の屋根)が見える。
トコトコ歩くと、目の前に熊野岳。100Mちょっと上がる感じか。相変わらず風が心地よく、ちょっとだけ汗をかいているが、すぐに乾くドライモード。
平和な感じ。人も少ない。人気のない山なのか?
熊野岳へ直登的に進む。登山道は、別にもあったが、時間節約。
なかなか素敵な光景である。
熊野岳山頂は、広いスペースと、この鳥居がいらっしゃる。人影も少なく、なんとなくポツンとある感じが物悲しくもあり、それはそれで良かったりもする。
核心部の風景はさすが百名山
鳥居から先に進むと、この砂砂っとした道を横移動。この標高は雲の上にある。
雲に向かって歩いていると、一緒に歩いていたはずの他の登山客が、右側に消えて行く。何かに吸い寄せられるように。何か抉れた地形のようだ。
!!!
なんじゃこりゃ?蔵王に「お釜」があるとは、恥ずかしながら全く知らず。絵に描いたような火口湖が突然現れてビックリ。しかも、見事にエメラルドグリーン。
もっと近くで見られる場所へ急ぐ。
なぜこんなところにエメラルドグリーン。自然の不思議である。
あの丘の上にあるのが、苅田岳の山頂だ。結局、熊野岳までは登山道っぽい感じで200Mほど登ったが、「お釜」から先は、こんな感じでノンビリな道のり。相変わらず緩い登山である。
時計を見ると、結構時間をロスしているので、急いで山頂へ。エメラルドグリーンで立ち止まって眺めていたら、時間が思いの外経過してしまっていた。
絵葉書のような風景
苅田岳山頂は、熊野岳と異なりたくさんの人で賑わっていた。写真を見ての通り、登山客というより観光客っぽい人たちが多い。この山頂の少し前までバスが乗り入れているようで、登山エリアを避けてここまでアクセスできるようだ。途中、クロックスやサンダルの人ともすれ違ったときは、岩石もある登山道をどうやって歩いてきたんだ?と思ったが、そういうことだったのね。
この場所から見えるお釜方面(熊野岳方面)の一枚。お見事な景色。色々な青と、色々な緑と、そして色々な茶色が混じった光景。
もう少し寄って見ると、お釜に吸い寄せられる人々が見える。吸引力のあるお釜だ。
ササッと山頂から撤退してロープウェイを目指す。山頂下のこの建物のところにバスが集まってくるようだ。窓に書いてある「釜カツ丼」が気になる。
お釜ゾーンを過ぎると、またこういう荒涼とした風景に戻った。どうやら、夏の蔵王山は、登山をする人は少なく、お釜目当てにやってくる観光客中心の場所のようだ。
最後に
麓駅には3時半に戻り、蔵王温泉を堪能。良いお湯です。4時20分のバスで山形駅へ。
山形まで折角来たのだから、新幹線前に地酒。「山形番屋」というお店。店の雰囲気が最高に良くて、地酒もいろいろあって、名物もかなり網羅。1時間の短期決戦だったが、腹一杯。登山6割、観光4割といった感じの1日になった。
さて、話を登山に戻すと、登山時間は正味4時間。ロープウェイを使ったチート登山ではあるものの、実際にはかなり駆け足で稜線だけピストンして終わったら感じである。他にも寄ってみたいところもあったので、日帰りの限界も感じた。日帰り登山はギリギリ可能だが、温泉や食事、そして地酒、登山も蔵王山以外にもこの山域はいろいろあるので、1泊なり2泊するのが理想かも。
個人的には、1日でザックリ一通り堪能したので満足ではある。
印象的だったのは、お釜の緑よりもドライな気候。南アルプスがマイナスイオン放出の高性能クーラーだとすると、蔵王の気候は、エアコンのドライモード。もともと汗っかきだが、立ち止まるとシャツがカラッと乾くのには驚嘆した。東京に戻り、その鬱陶しい喧騒と湿度に触れたとき、自分が住む場所の残念さを感じざるを得なかった。。。
おしまい。