K10's Memorandum

いきなり登山が好きになりました

【リベンジ】残雪期4月 権現岳へ再トライ(美しい世界の話)

数日前に、2月の厳冬期、八ヶ岳権現岳で途中退却した記事をアップしたばかり。その直後、友人と登山に行く話が急遽持ち上がり、快晴という天気予報を信じ、再び、この場所を目指すことにした。美しい世界に心を打たれ、厳しい世界には心を打ちひしがれたが、今回は、前者のお話である。 

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〜カメラに収めたいものが余りにも大きい〜

 

念のため、前回の敗退記録は以下である。

s-d-k10.hatenablog.jp

権現岳登頂ルートとスケジュール

選んだルート(天女山入口からのピストン)

前回のリベンジをテーマに権現岳を選んでいる。このため、前回と同じ、天女山入口から、前三ツ頭、三ツ頭、山頂というルートをピストンすることにした。もう少し暖かくなれば、観音平から入り、網笠山から権現岳というルートもあるのだろうが、この日(4月23日)は、まだ天女山から向かうしかない。

スケジュール

天女山をスタートすると、権現岳山頂までのコースタイムは5時間ちょっと。残雪や急登もあることから休憩を入れれば、5時間半くらいが標準タイムだろうか。下りは、3時間40分が地図上のタイムである。どちらにしても、8-9時間の行動となる。

【実際のタイム】

スタート天女山6:00 → 前三ツ頭 8:30 (小休憩) → 三ツ頭 10:00 → 権現岳山頂 11:15 →三ツ頭12:30 (昼食) → 三ツ頭出発13:00 → 前三ツ頭13:30 → 天女山14:30

登りが4時間強で飛ばしてしまったため、下りでバテて、結局8時間半。権現岳の山頂から三ツ頭まで1時間以上かかっているが、これはまた別の機会に。

 

天女山入口から天ノ河原までの準備運動

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ラッキーなことに、天女山入口のゲートが前日にOPEN。これは嬉しい。思い返せば、前回のケチの付け始めは、ゲートから天女山に向かう入口を誤り、車道を延々と歩き続けたことだった。ゲートオープンで、一気に天女山の駐車場(上記写真)まで車で上がって行けた。前回はここも深い雪だったが、今はご覧の通り。

装備を確認して、いよいよ出発である。

 

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雪がない。このあたりは、もう完全に春である。

暖かい日差しのもと、土の上を軽快に歩く。

雪山は雪山で良さはあるが、軽快な登山も気持ちがいい。

ウォーミングアップとしてはちょうど良い10分足らずである。

 

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天ノ河原到着。

もし八ヶ岳に登る時間がないとしても、天ノ河原までだったら駐車場から10分ちょっと。ここからでも、素晴らしい景色が見られるから、皆にお勧めしたい。

 

心を無にする一本道(前三ツ頭まで)

地図のコースタイムで3時間。天ノ河原から前三ツ頭までは、前半はそうでもないが、後半は急登が続く。前回は、前半の平坦なところで新雪が積もり、膝まで足が埋まる難路であった。

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.....

雪がない。写真右は、前回の同じエリアで撮影した足の埋もれ模様。

変な横風強風と、深い深い新雪に足をとられ悪戦苦闘したのが嘘のように、このエリアも軽快に進んで行く。厳冬期とそれ以外の時期は、全く違うのだと痛感した。

 

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少しずつ傾斜がキツくなる。

それに比例して、残雪が増えてくる。

ちょうど、「標高2,000メートル」の看板あたりで、アイゼンを装着。アイゼンを付けた分、足は重くなったが、前回のパウダースノー地獄(崩れて足場が確保できない)よりは遥かにマシ。

 

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おなじみの「ここが一番きつい」の標識。

しかし、個人的にこれは少し嘘だと思っている。このあとも登りが続く...

 

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登りが続く。

しかし、雪の白さ空の青さ笹の緑のコントラストが素敵。

徐々に樹が少なくなり、周りの風景もよく見える。

心を無にして登るのは同じでも、飛び込んでくる素敵な風景に励まされる。

 

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前回の終着点 前三ツ頭 到着。(標高2,364M)

 

前三ツ頭からの絶景にはしゃぐ

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同じ位置から、「三ツ頭」方面を撮影。

もちろん左が今回、右が前回の厳冬期強風バージョン。

 

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ここまで2時間半。

所要時間だけではなく、負担感、まわりの景色の美しさが、前回のそれと余りにも違いすぎて、しばしの間、ハシャギ回ってみた。

 

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撮影:前三ツ頭より

富士山が美しい。

 

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撮影:前三ツ頭から少しだけ上がったところ

南アルプスも美しい。

 

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はしゃぎ回る時間は終了。

エネルギーと水分を補給。

前回未踏だったエリアに突入である。

 

前三ツ頭から三ツ頭に至り、彼らと再会する

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三ツ頭までの登山道も、ひたすた登って行く感じである。

しかし、前三ツ頭直前の急登に比べると、幾分か楽に感じる。

標高が徐々に上がっていく。

樹が目に見えて、背が低くなっていく。

のコントラストが、どんどんハッキリしてくる。素敵だ。

 

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枯れた木も、なんか絵になる。

コースタイムでは50分で到着のはずだったが、残雪が歩みを鈍らせる。

空気も薄くなってきているせいもあり、少しバテを感じながら、到着する。

 

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三ツ頭(標高2,580M)

ここの山頂(?)エリアは広くなっていて、休憩にはもってこい。

先ほど出した富士山、南アルプスだけではなく、北アルプス中央アルプスも遥か彼方にではあるが、はっきりと見える。そして。

 

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こんにちわ。

1ヶ月ぶりにお会いしましたね。

3月のときは、反対側(硫黄岳)から見たけど、こっちからの姿も素敵です。

 

権現岳山頂を目指す

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美しい三ツ頭を後にする。

5分ほど、八ヶ岳に向かって下って行く。

どんどん八ヶ岳が迫ってくる。異様な圧力だ。

下った後は、少しだけ樹林帯を登り、権現岳の入口に至る。

 

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ちょうど、雪のあるところを登り進む感じである。

ここからは、腐った残雪と岩が続き、カメラを構える余裕がなくなる。

 

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無意識にカメラを構える回数が減っていたようで、写真が少ない。

登りも下りも、緊張する場面が増える。

 

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トラバース

権現岳山頂には、一直線で上がるのではなく、最後に左からグルッと回り込んで頂上に至るルートとなる。このグルッと回って頂上に至るところに、2カ所、連続したトラバースがある。上記の写真は1個目である。2個目の写真がないが、とてもカメラを構えている余裕などなかった。

新雪はモフモフして崩れるが、残雪も雪が緩んでいて、足場が悪い。

雪が融けてしまえば何てこともない場所かもしれないが、この時期は危ない。

 

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危ない場所をクリアして、あともう少し。

 

権現岳山頂 (標高2,715M) に到着

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ようやく登頂。

最初に遠くから権現岳を見たとき、頂上部が尖っているな、と感じた。

実際に来てみたら、岩の塊。

 

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あまり油断すると、結構危険な感じである。

 

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岩の合間から覗き見た。

同じくらいの高さから見る主峰たちも、やはり美しい。

 

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〜権現小屋からギボシの方面を撮影〜

稜線に人が見える。

頂上付近にも人がいる。

今度はあっち側にもいきたい。

 

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〜再度頂上から南側を撮影〜

なんの変哲もない写真だが、左の岩の合間に見えるのが三ツ頭、それを下ったところに前三ツ頭、そして南アルプスに、少し雲をかぶった富士山。今日という1日が詰まっている。

 

教訓に満ちた下山

下山では色々とあったが、美しい世界の話ではないのでまた改めて書きたい。

素晴らしい天気と絶景を楽しみながら、途中、三ツ頭で30分ほどのランチ休憩。網笠山に登ったときと同じくらい風が穏やかで、のんびりできた。頂上で飲むホットコーヒーは、極めてうまい。

下山は惰性に任せて進める分、一気に進める。三ツ頭を1時に出て、2時半には入口付近迄戻ってきたので、なかなか素晴らしいスピードだ。ただ、その分消耗もしてしまい、下山中はカメラを構えることはほとんどなかった。

天ノ河原付近に戻ったとき、雪のない、ポカポカと陽が射す樹林帯を歩いている時は、とても穏やかな気持ちになれた。急登や雪と格闘する登山もいいが、こういうマッタリとした「ハイキング」も気持ちいい。

 

本日の装備(備忘記録)

本文にも書いた通り、4月下旬の残雪期。天気は快晴、風も非常に穏やか。

 

【レイヤリング】

標高が高く、前回の記憶も色濃く残っているので、一応雪山対応で臨んだ。しかし、素晴らしい天気に恵まれ、道中は、スキンメッシュ+薄手のメリノウールシャツのみ。休憩中と、標高の上がった三ツ頭〜権現岳山頂までは、フリースを羽織っていたが、アウターシェルは一度も取り出すことはなかった。春である。

【雪山装備】

ワカンを買うキッカケは、前回の権現岳の新雪格闘。しかし、流石に今回はそれはなかろうと、ワカンはお留守番。軽アイゼンを持って行こうと考えたが、やはり前回のこともあり、12本アイゼンを選択。結果、どっちでも良かった気がする。ピッケルは、あのトラバースを考えると、今週に限らず、雪がある間は、必須アイテムと思われる。

 

最後に

8時間を超える登山だったため、下山して、ホッとした。麓にある「パノラマの湯」で汗を落とし、気持ちを落ち着けて、家路についた。リベンジも果たし、美しい景色も堪能、少しヒヤヒヤ緊張もしたが、中身の濃い登山であった。

 

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続編「厳しい世界の話」はこちらです。

s-d-k10.hatenablog.jp

 

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