【リベンジ】残雪期4月 権現岳へ再トライ(美しい世界の話)
数日前に、2月の厳冬期、八ヶ岳の権現岳で途中退却した記事をアップしたばかり。その直後、友人と登山に行く話が急遽持ち上がり、快晴という天気予報を信じ、再び、この場所を目指すことにした。美しい世界に心を打たれ、厳しい世界には心を打ちひしがれたが、今回は、前者のお話である。
〜カメラに収めたいものが余りにも大きい〜
念のため、前回の敗退記録は以下である。
- 権現岳登頂ルートとスケジュール
- 天女山入口から天ノ河原までの準備運動
- 心を無にする一本道(前三ツ頭まで)
- 前三ツ頭からの絶景にはしゃぐ
- 前三ツ頭から三ツ頭に至り、彼らと再会する
- 権現岳山頂を目指す
- 権現岳山頂 (標高2,715M) に到着
- 教訓に満ちた下山
- 本日の装備(備忘記録)
- 最後に
権現岳登頂ルートとスケジュール
選んだルート(天女山入口からのピストン)
前回のリベンジをテーマに権現岳を選んでいる。このため、前回と同じ、天女山入口から、前三ツ頭、三ツ頭、山頂というルートをピストンすることにした。もう少し暖かくなれば、観音平から入り、網笠山から権現岳というルートもあるのだろうが、この日(4月23日)は、まだ天女山から向かうしかない。
スケジュール
天女山をスタートすると、権現岳山頂までのコースタイムは5時間ちょっと。残雪や急登もあることから休憩を入れれば、5時間半くらいが標準タイムだろうか。下りは、3時間40分が地図上のタイムである。どちらにしても、8-9時間の行動となる。
【実際のタイム】
スタート天女山6:00 → 前三ツ頭 8:30 (小休憩) → 三ツ頭 10:00 → 権現岳山頂 11:15 →三ツ頭12:30 (昼食) → 三ツ頭出発13:00 → 前三ツ頭13:30 → 天女山14:30
登りが4時間強で飛ばしてしまったため、下りでバテて、結局8時間半。権現岳の山頂から三ツ頭まで1時間以上かかっているが、これはまた別の機会に。
天女山入口から天ノ河原までの準備運動
ラッキーなことに、天女山入口のゲートが前日にOPEN。これは嬉しい。思い返せば、前回のケチの付け始めは、ゲートから天女山に向かう入口を誤り、車道を延々と歩き続けたことだった。ゲートオープンで、一気に天女山の駐車場(上記写真)まで車で上がって行けた。前回はここも深い雪だったが、今はご覧の通り。
装備を確認して、いよいよ出発である。
雪がない。このあたりは、もう完全に春である。
暖かい日差しのもと、土の上を軽快に歩く。
雪山は雪山で良さはあるが、軽快な登山も気持ちがいい。
ウォーミングアップとしてはちょうど良い10分足らずである。
天ノ河原到着。
もし八ヶ岳に登る時間がないとしても、天ノ河原までだったら駐車場から10分ちょっと。ここからでも、素晴らしい景色が見られるから、皆にお勧めしたい。
心を無にする一本道(前三ツ頭まで)
地図のコースタイムで3時間。天ノ河原から前三ツ頭までは、前半はそうでもないが、後半は急登が続く。前回は、前半の平坦なところで新雪が積もり、膝まで足が埋まる難路であった。
.....
雪がない。写真右は、前回の同じエリアで撮影した足の埋もれ模様。
変な横風強風と、深い深い新雪に足をとられ悪戦苦闘したのが嘘のように、このエリアも軽快に進んで行く。厳冬期とそれ以外の時期は、全く違うのだと痛感した。
少しずつ傾斜がキツくなる。
それに比例して、残雪が増えてくる。
ちょうど、「標高2,000メートル」の看板あたりで、アイゼンを装着。アイゼンを付けた分、足は重くなったが、前回のパウダースノー地獄(崩れて足場が確保できない)よりは遥かにマシ。
おなじみの「ここが一番きつい」の標識。
しかし、個人的にこれは少し嘘だと思っている。このあとも登りが続く...
登りが続く。
しかし、雪の白さ、空の青さ、笹の緑のコントラストが素敵。
徐々に樹が少なくなり、周りの風景もよく見える。
心を無にして登るのは同じでも、飛び込んでくる素敵な風景に励まされる。
前回の終着点 前三ツ頭 到着。(標高2,364M)
前三ツ頭からの絶景にはしゃぐ
同じ位置から、「三ツ頭」方面を撮影。
もちろん左が今回、右が前回の厳冬期強風バージョン。
ここまで2時間半。
所要時間だけではなく、負担感、まわりの景色の美しさが、前回のそれと余りにも違いすぎて、しばしの間、ハシャギ回ってみた。
撮影:前三ツ頭より
富士山が美しい。
撮影:前三ツ頭から少しだけ上がったところ
南アルプスも美しい。
はしゃぎ回る時間は終了。
エネルギーと水分を補給。
前回未踏だったエリアに突入である。
前三ツ頭から三ツ頭に至り、彼らと再会する
三ツ頭までの登山道も、ひたすた登って行く感じである。
しかし、前三ツ頭直前の急登に比べると、幾分か楽に感じる。
標高が徐々に上がっていく。
樹が目に見えて、背が低くなっていく。
白と青と緑のコントラストが、どんどんハッキリしてくる。素敵だ。
枯れた木も、なんか絵になる。
コースタイムでは50分で到着のはずだったが、残雪が歩みを鈍らせる。
空気も薄くなってきているせいもあり、少しバテを感じながら、到着する。
三ツ頭(標高2,580M)
ここの山頂(?)エリアは広くなっていて、休憩にはもってこい。
先ほど出した富士山、南アルプスだけではなく、北アルプス、中央アルプスも遥か彼方にではあるが、はっきりと見える。そして。
こんにちわ。
1ヶ月ぶりにお会いしましたね。
3月のときは、反対側(硫黄岳)から見たけど、こっちからの姿も素敵です。
権現岳山頂を目指す
美しい三ツ頭を後にする。
5分ほど、八ヶ岳に向かって下って行く。
どんどん八ヶ岳が迫ってくる。異様な圧力だ。
下った後は、少しだけ樹林帯を登り、権現岳の入口に至る。
ちょうど、雪のあるところを登り進む感じである。
ここからは、腐った残雪と岩が続き、カメラを構える余裕がなくなる。
無意識にカメラを構える回数が減っていたようで、写真が少ない。
登りも下りも、緊張する場面が増える。
トラバース
権現岳山頂には、一直線で上がるのではなく、最後に左からグルッと回り込んで頂上に至るルートとなる。このグルッと回って頂上に至るところに、2カ所、連続したトラバースがある。上記の写真は1個目である。2個目の写真がないが、とてもカメラを構えている余裕などなかった。
新雪はモフモフして崩れるが、残雪も雪が緩んでいて、足場が悪い。
雪が融けてしまえば何てこともない場所かもしれないが、この時期は危ない。
危ない場所をクリアして、あともう少し。
権現岳山頂 (標高2,715M) に到着
ようやく登頂。
最初に遠くから権現岳を見たとき、頂上部が尖っているな、と感じた。
実際に来てみたら、岩の塊。
あまり油断すると、結構危険な感じである。
岩の合間から覗き見た。
同じくらいの高さから見る主峰たちも、やはり美しい。
〜権現小屋からギボシの方面を撮影〜
稜線に人が見える。
頂上付近にも人がいる。
今度はあっち側にもいきたい。
〜再度頂上から南側を撮影〜
なんの変哲もない写真だが、左の岩の合間に見えるのが三ツ頭、それを下ったところに前三ツ頭、そして南アルプスに、少し雲をかぶった富士山。今日という1日が詰まっている。
教訓に満ちた下山
下山では色々とあったが、美しい世界の話ではないのでまた改めて書きたい。
素晴らしい天気と絶景を楽しみながら、途中、三ツ頭で30分ほどのランチ休憩。網笠山に登ったときと同じくらい風が穏やかで、のんびりできた。頂上で飲むホットコーヒーは、極めてうまい。
下山は惰性に任せて進める分、一気に進める。三ツ頭を1時に出て、2時半には入口付近迄戻ってきたので、なかなか素晴らしいスピードだ。ただ、その分消耗もしてしまい、下山中はカメラを構えることはほとんどなかった。
天ノ河原付近に戻ったとき、雪のない、ポカポカと陽が射す樹林帯を歩いている時は、とても穏やかな気持ちになれた。急登や雪と格闘する登山もいいが、こういうマッタリとした「ハイキング」も気持ちいい。
本日の装備(備忘記録)
本文にも書いた通り、4月下旬の残雪期。天気は快晴、風も非常に穏やか。
【レイヤリング】
標高が高く、前回の記憶も色濃く残っているので、一応雪山対応で臨んだ。しかし、素晴らしい天気に恵まれ、道中は、スキンメッシュ+薄手のメリノウールシャツのみ。休憩中と、標高の上がった三ツ頭〜権現岳山頂までは、フリースを羽織っていたが、アウターシェルは一度も取り出すことはなかった。春である。
【雪山装備】
ワカンを買うキッカケは、前回の権現岳の新雪格闘。しかし、流石に今回はそれはなかろうと、ワカンはお留守番。軽アイゼンを持って行こうと考えたが、やはり前回のこともあり、12本アイゼンを選択。結果、どっちでも良かった気がする。ピッケルは、あのトラバースを考えると、今週に限らず、雪がある間は、必須アイテムと思われる。
最後に
8時間を超える登山だったため、下山して、ホッとした。麓にある「パノラマの湯」で汗を落とし、気持ちを落ち着けて、家路についた。リベンジも果たし、美しい景色も堪能、少しヒヤヒヤ緊張もしたが、中身の濃い登山であった。
続編「厳しい世界の話」はこちらです。