K10's Memorandum

いきなり登山が好きになりました

【Your Majesty】北アルプス女王 燕岳に謁見を許可される(2018年8月13-15日)

謁見の間は標高2,764Mにある

天気予報と睨めっこをすること1週間、のマークが並ぶ時間別予報。多少の雨は覚悟して、信州穂高へ。初めての北アルプスへの登山の場所に選んだのは、もちろん燕岳北アルプスの入門として衆目一致の山、そして山小屋から伸びる美しい稜線、目的地としてこれ以上の条件はない。軽快に登るため、今回は燕山荘での山小屋泊としたが、カメラとおやつを手放せない山野の愚か者のザックは約12kg。女王陛下への謁見が叶うには、4時間の苦行に耐えること、そして陛下の御機嫌次第である。

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Your Majesty!!!!!

 

中房温泉から始まる定番の登山道

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東京から穂高は遠い。このため、定石通り、麓の中房温泉付近で前泊、宿は有明荘。サービスの良さと温泉が心地よく、謁見のための苦行に出向くのが少し億劫にもなる。しかし、翌朝、ガスがかっているものの雨は降っておらず、躊躇いなく出発となる。

 

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舗装道路を歩くこと15分。ここが登山口のようだ。登山届を提出し出発である。

 

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登山口から足を踏み入て早々に、クネクネと登りっていく。登り始めなので、ゆっくり歩かないとキツ感じる。登山口から山頂への標高差は1,300Mあるので、この勾配もやむを得ない。

 

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白樺。悪くない雰囲気の序盤である。そして、何と言っても、「歩きやすい登山道」というのが最初の印象である。

 

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あっという間に第1ベンチに到着する。この後、適度な間隔で第2、第3、富士見と休憩所が設けられている。この間隔が丁度いい具合で驚いた。謁見に向かう登山者に対する、陛下の気配りが半端ないのである。

 

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第1ベンチ通過後、更に登って行く。「登りやすい道」の一言である。

 

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随所に木の階段があり、整備されている。道の整備状況も含めて、何と言う至れり尽くせりの登山道であろうか。そして、道も一本道、目を瞑っていない限り迷うことはない。

 

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第3ベンチを超えたあたりから、こういった感じの道が増える。ここまでしっかりしていると、舗装道路を歩いているのと変わらない。勾配はあっても、負担が大幅に軽減される。ピストン登山で下山する際、自分たちの登った道の勾配が凄かったことに気づくことがよくあるが、今回はいつも以上にそれを感じた。つまり、登っている時の負担感がとても小さかったということだ。

 

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富士見ベンチを超えたあたりからは、大きな岩も登場し、登山してます感が増す。個人的に「岩岩」地帯は嫌いではないので、このエリアも快適だった。

 

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え、もう!? 正直な感想である。しかし、この標識はカワイイ。

 

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岩場を登り。。。

 

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マークの標識を通り過ぎ。。。

 

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もうちょっと登り。。。

 

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小屋到着

 

ガスガスガスの合戦尾根

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この小屋の名物といえばコレ。しかし、自分はスイカは嫌いなのでパス。

 

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合戦小屋から続く道「合戦尾根」は、地図によると北アルプス三大急登があるはずだ。しかし、どこにそんな急登があったのだろうか。。。確かに登った気もするが、歩きやすいな〜と感動していたらゴールしてしまった感覚である。人それぞれ感じ方は違うだろうが、「三大」というのは誇張ではないだろうか。

 

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このコース唯一の鎖場である。危険というよりも、補助用に陛下が整備してくれた、という感じがする。濡れていると滑る足場でもあるので、ご注意を。

 

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しかし....ガスだらけで、眺望がない。途中の「合戦沢ノ頭」から槍ヶ岳が望めると書いてあったが、槍ヶ岳はおろか、ちょっと先も見えないではないか。登りの負担感より、このガスガス状態への落胆の方が大きい。

 

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ゴール近し。そして、ガスガスだ。嗚呼。

 

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ENZANSO(燕山荘)到着

7時半に有明荘を出発し、ノンビリ登ってお昼前に到着。疲労感や負担感を感じさせない非常に整備された良い登山道であった。

 

女王陛下への謁見が許可された

まず山荘にチェックイン。そして、ガスガス状態が回復することを祈りながら、山小屋の外に出てみた。

 

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山小屋直下のテント場(写真の現像がキツすぎ)。テントがビッシリだが、テント場は意外に狭い。しかし、明らかにガスが晴れてきているではないか。ということは...

 

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女王陛下のお目覚めである。

 

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西側のガスも晴れきて、岐阜/富山サイドのアルプスも見える。この付近からガスが通り過ぎたようだ。このタイミングを逃してはいかん。

 

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燕岳山頂へアタック開始

 

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謁見の間に向かう途中、イルカ氏に遭遇した。本当にイルカだった。

 

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イルカ氏に山頂の場所を教えてもらう。

あっちらしい。

 

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助言に従い、稜線をひたすら進んで山頂へ。

 

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ゴールは近い。

 

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山頂到着(ラピュタ〜)

 

山頂から見る景色はヤバイ

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ヤバいやつである。

ガスというか雲が多く、確かに快晴とはお世辞には言えない天気である。しかし、山頂付近に行った時、それがいい具合に切れてくれて、何とも言えない幻想的な雰囲気を醸し出す。

 

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クリーム色の地面白い雲植物の緑、そして独特の花崗岩

このエリアで30分ほど過ごした時間は、写真や言葉で表現が難しい。でも、写真を一杯撮影した。幸せ。

名残惜しくも、陽も傾き始めたので、山小屋に戻ることにした。

 

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戻ろうとしたらこの景色。ヤバイ。ずーっと向こうまで稜線がくっきり。左側の雲が稜線のところで丁度せき止められているような感じだ。

 

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燕山荘がジオラマみたいに見える。

 

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山小屋に戻ってからは、荷物を整理し、ビールと大量の夕食を補給し9時就寝。明日は早い。晴れますように。

 

朝の眺望を期待して3時に起きる

3時に起きようと思いながら寝付き、何の苦もなく3時に自然に目が覚めた。いくら歩きやすいとはいえ、5−6時間歩き回れば、肉体の疲労は相当なものである。日常生活で、朝起きられない、朝起きた時のあのモッタリ感は一体なんだろうか。それくらい、日常生活はストレスが多いのか、それとも、ルーチンで繰り返される日々に肉体が自然に拒否反応を示しているのか。とにかく、登山をする日の目覚めはいつも良い。

2日目、外に出たときは、霧雨が少し降り、辺り一帯はモヤモヤで何も見えない。今日は無理かも、と思いつつ身支度を整え、4時頃食堂でコーヒーを飲む。そのうち、当たりが明るくなり始め、沢山の人たちが外にいることに気づく。何だ?一眼レフ片手に、サンダルのまま一目散に飛び出した。

 

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雲海。生まれて初めて見たが、こりゃすごい。

 

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冒頭の写真も、この時間帯に撮影。

 

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山小屋、人々、そして雲海。美しい光景だ。

2日目。スケジュールとパーティーの行動スピードから考えて、この場所から移動できる場所は限られている。合戦小屋経由で下山するためには最低3時間。中房温泉から駅までの移動、温泉などで2時間必要。帰りの電車から逆算すると、燕山荘からの下山開始は正午頃に設定する必要が合った。地図を広げるまでもなく、燕岳の次にくるターゲットは大天井岳座縦走コースである。5時スタートであれば、ギリギリ往復できるのだが、パーティーの脚力を考えると無理もできない。そして、天気予報もそれほど良くない。結論として、大天井岳へ向け、行けるところまで行ってみて、キリよくスパッと引き返す

 

縦走開始、行けるところまで行ってみる

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小屋から常念岳方面の道を進む。見ての通り、酷いガス模様である。こんな道を進んで楽しいのだろうか?と疑問を持ちつつも、少しでも進んでみてこの縦走路を体感して、次来たときの準備をしようと切り替える。

 

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面白いもので、ガスは突然切れたりする。昨日目指した山小屋から燕岳山頂への稜線である。青空ではないのが残念ではあるが、本当に綺麗な稜線だ。

 

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山小屋からドンドン人が降りてくる。皆、同じ方面に進む(というか、それしか道がないのだが)

 

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ガスが晴れると、稜線がまで伸びているのが見える。もはや、登ったり下ったりすることで生じる疲労や負担など、一切感じることはない。どこまででも歩いて行けそうな気分だ。

 

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少し小高いところから振り返ってみた。北燕岳、燕岳、燕山荘と続き、ここまで続いている稜線。

素晴らしい!

 

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前方に見える岩は蛙岩。地図のコースタイムより大幅に時間がかかっていることに気づく。パーティの足が遅いのではなく、稜線や他のアルプスの山々を見とれている時間が発生するのだ。コースタイムはあくまで普通に歩いた場合の時間なので、写真を撮ったりボーッと眺めるなら、コースタイムの1.5倍くらいを計画した方が良いかもしれない。

 

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蛙岩接近。このあたりは、冒険しています感が増す。

 

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チェックポイントである大下りノ頭

分岐ポイントではなく、ここから先は、大天井岳に向けて一度下っていくポイントになる。地図では、ここから大天井岳が2時間。そして、明らかに蛙岩付近前よりもガスが濃い。

 

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かなりの急勾配を下る。帰りにこの道を「登る」ことを想像してしまう。

 

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一通り下った後、前方にピークらしきものが見えてくる。登り返しである。行けるところまで行くのである。

 

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思ったよりも急登である。今回の登山で、ストックを出してブーストをかけた唯一のエリアである。まずは、このピークを登り切り、先を見てみた。

 

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稜線!これは負担なく進める。しかし、時計を見るとかなり微妙なところ。写真の先に見えるピークが大天井岳ならば迷わず行くのだが、あれは違うはず。と、1、2分考えていたところで、ガスが一瞬だけ切れて、写真に映っているピークの更に背後に、もの凄い巨大な山頂の影が見えた。一瞬だけだったのでシャッターを押せず。その影を見た瞬間、今回はここまでだ、と直感した。コースタイムとは別に、パーティーの疲労具合も考えると、行って戻る体力はまだしも、燕山荘からの下山のエネルギーも必要。ここでの無理は少し危険な気がした。名残惜しいが、また来ればいい。

 

いよいよ帰路(燕山荘に戻り下山開始)

 

 

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1日目から2日目途中まで、ずっとどこかを目指して歩いていたが、ようやく「戻る」ために歩き出す瞬間がきた。写真でガスに隠れたピークが「大下りノ頭」だ。一度下ってからの登り返し第2弾である。

 

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最初にここを下った時は、帰りが思いやられたのだが、どういうわけか、ここの登りはキツくなかった。エネルギー補給、水分補給がうまくいったのか、快調に登り返すことができた。

 

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今回の最後の1枚である。燕岳方面に戻る縦走路の一コマ。次回、快晴の中、この場所を全力ダッシュしたい。

この写真を撮影したあたりから、ガスが濃くなり、霧雨も強くなりはじめ、カメラを終った。結局、あの場所で引き返して良かったのかもしれない。燕山荘に近づいた頃には、ガスで視界がかなり悪くなり、ちょっと先も見えなくなってしまった。

山小屋に戻ったのは11時くらい。カツカレーを食べ下山開始。山小屋付近では気にならなかった霧雨も、高度を下げると雨になり、合戦小屋を超えてからはかなり濡れ始めた。カメラは防水袋に終い、ザックカバーもして、スピードをだして下山。燕山荘から有明荘までちょうど3時間で下ることができた。

 

最後に

下山時は雨が降ってしまったが、肝心な部分では雨は降らず、ガスもいい具合に切れてくれてラッキーであった。特に、最優先の目標だった北アルプスの女王をちゃんと拝めたのが嬉しい。燕岳を遠くから、また近くから堪能し、そして大天井岳方面に伸びる稜線はとても美しかった。地図だけではわからない距離感、負担感もわかり、次回再びこの場所を縦走するのが楽しみでならない。また、燕山荘までの登山道の整備の良さ、燕山荘の充実したサービスは印象的である。逆に、人の手が入りすぎていて、自然のありのままを体感するという意味では「観光地」の香りがしないでもないが、自分のように初めて北アルプスにチャレンジする場合には、とても心強いものである。

今週関東地方は毎日雨、というか8月はほぼ毎日雨。そんな中、これだけシャッターチャンスがあった登山が出来て幸せだ。

 

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